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ついに花王が抜本改革「3つの誤算」が招く危機 営業益は27年前水準に低下、600億円投じ大改革

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日用品の国内王者が収益低下に苦しんでいる。インバウンド需要の剥落、高収益事業の採算低下、原材料高の「三重苦」が主要因だ。経営責任を問う声も高まる中、構造改革による大手術が始まろうとしている。

衣料用洗剤「アタック」やヘアケア「メリット」など日用品で高いシェアを持つ花王。構造改革で複数ブランドの見直しを進める方針を掲げている(撮影:尾形文繁)

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「国内すべての生産拠点を見直し、商品の統廃合も進める」

花王の根来昌一専務は8月、中間決算説明会で構造改革について説明した。今2023年度の営業利益は600億円になると下方修正を発表し、600億円の構造改革費用が発生することを明らかにした。紙おむつの中国生産撤退を皮切りに、国内10拠点の工場含む広範囲な見直しを計画する。

花王の営業利益が600億円の水準となるのは、1996年度の599億円以来だ。当時の売上高は8355億円で、2023年度の1兆5800億円(会社計画)の約半分にすぎない。日用品の国内王者である花王が、かつてない収益低下に苦しんでいる。いったい何が起きているのか。

減益ラッシュの袋小路

「社長として2年間改善に努めてきたが、環境の変化に改革が追い付いていない」

遡ること半年前の2月、花王の長谷部佳宏社長は決算説明会で厳しい現状について語っていた。2021年1月の社長就任以来、業績下方修正を繰り返すことに対して厳しい目が向けられていた。2019年に9000円台だった株価は5000円台をさまよっている。

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