元祖トクホ茶「ヘルシア」、キリン移籍でどう変わる 21年目の老舗ブランド、花王の構造改革で売却
「ヘルシアは、お客様との接点を持つ非常に大事な事業だった。しかし、われわれで飲料事業を成長させることが難しいと判断した」
花王の長谷部佳宏社長は2月7日、決算会見でこう語った。同月1日に花王は、茶系飲料「ヘルシア」ブランドをキリンホールディングス(以下、キリン)傘下のキリンビバレッジに売却すると発表。8月以降はキリンビバレッジがヘルシアの製造・販売を行うことになる。
ヘルシアは、茶系飲料として初めて体脂肪低減機能をうたった特定保健用食品(トクホ)として2003年に発売された。国から個別に認定の許可を得る必要があるトクホは、販売にたどり着くまでの難易度が高い。それでも1990年代から脂質代謝の研究を続けてきた花王は、この認可をいち早く取得。茶系飲料系では初のトクホとして、発売時は話題をさらった。
30〜50代男性を中心に支持を集め、発売初年度の売上高200億円と大ヒット。その後、2023年までに累計約31億本を売り上げた。花王が得意とする研究開発がヒット商品に結びついた成功事例だった。
飲料分野のシェアはわずか
しかしその後、各社がトクホ商品を次々と投入し、2015年にはトクホよりも参入障壁が低い「機能性表示食品」の制度が開始。健康関連の食品が増加し、事業環境は厳しさを増していった。
洗剤や生理用品などで高いシェアを誇る花王だが、飲料分野のシェアはごくわずか。コンビニやスーパーでの棚取りでは、飲料メーカーが競合となる。大和証券の広住勝朗シニアアナリストは、「ヘルシア事業の年間売り上げはピーク時に300億円あったものの、直近では数十億円に縮小し、利益に至っては営業赤字に転落していた」と推測する。