40代でバイク便から海外起業した彼の奇跡の秘話 英語を学んだことでまだ見ぬ世界への扉が開いた

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Q 逆に、海外でお仕事をされるうえで、日本人であること、日本の教育や社会を経ていることで足かせになっているようなことはありますか?

日本的なこだわりが海外でビジネスをするのに大きな武器になるのですが、日本の横並び教育がチャレンジ精神を妨げていると思います。すでにある物の品質を上げていくのは得意ですが、誰もやっていないことや、自分が理解できないことに抵抗があるのが、日本人の特徴です。

2009年に経験したことですが、私がフィリピンに英会話学校を作り、日本の留学エージェントさんへ営業に行ったときです。なんと企画書を投げ返されてしまいました。「何で日本人が発展途上のフィリピン人から英語を学ぶ必要があるんだ」「フィリピン人から英語を学んだらフィリピン訛りの英語になってしまう」と言われたのです。日本人が誰もやっていなかったのでフィリピン人から英語を学ぶということが理解できなかったのだと思います。

出る杭は打たれるではありませんが、新しいことに挑戦する人の足を引っ張るのが日本の特徴です。本来は誰もやっていないことや新しいことにチャンスがあるのです。

日本から近く、格安の料金でマンツーマンレッスンが受けられるフィリピンは、今では年間7万人もの日本人が来る、人気の留学先になっています。

英語を話せて海外に出ていく日本人は少ない

Q 海外から日本を見て、日本のポテンシャル/限界をどう評価しますか?

私のいるフィリピンは平均年齢が26歳で、人口ボーナスが2062年まで続くと言われています。それに引き換え平均年齢が47歳で人口が減少し、どんどん貧しく老いていく日本が心配です。今後、円安がさらに進んだら、どこからも相手にされない国になってしまうのではないでしょうか。

しかし、見方を変えると、今の日本の若者には可能性しかありません。これだけの文化とポテンシャルを持っているのに、英語を話せて海外に出ていく日本人が少ないのはチャンスです。国として考えると日本はノーフューチャーですが、個人で考えると大きな可能性があるのです。

何度も言いますが、海外でビジネスをするとき、最大のライバルは日本人です。その日本人が少ないのですから、これほど戦いやすいことはありません。

Q これから短期でも海外に出ていくとしたら、どの国のどこを見ることをオススメされますか?

フィリピンと言いたいところですが、どこでもいいと思っています。

しかし、旅行で数日間行くのでは何もわからないし、体験もできません。できれば知り合いがいる国にじっくり行ってみるのがいいと思います。実際に生活をしている人と一緒に滞在すると、旅行では見えないものが見えてきます。

私は仕事柄色々な国に行きますが、知り合いがいる国に行くのが一番面白く、学びが多くあります。有名な国でなくても、大都市でなくてもいいです。知り合いを訪ねて押しかけてみてください。

海外に住んでいると、日本から知り合いが来てくれるのはうれしいものです。忙しいのに行くと迷惑だとか考えがちですが、大丈夫です。大歓迎してくれます。

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