魚が獲れないのを海水温のせいにする人の盲点 「サンマが豊漁に戻った」と思う人が知らない真実

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
(出所)気象庁「海面水温の長期変化傾向(全球平均)」

なお上のグラフは全球平均の海水温の変化を示しています。海水温の上昇幅は過去100年で1℃弱です。また右肩上がりに上がり続けているわけではなく、長い年月をかけて凸凹を繰り返しながら少しずつ上昇しているにすぎないことを付け加えておきます。

印象に残ったオマーンの漁業会社との話

筆者は漁業・水産関係の国際フォーラムで講演する機会がある数少ない日本人です。このため世界の漁業関係者とやりとりする機会があります。昨年の国際フォーラム(Pelagic Fish Forum)で、印象に残る話がありました。オマーンの漁業会社の方が声をかけてきたのですが、オマーンも日本と同じで漁期は決まっているが、数量での管理がされていないと。このままだと日本と同じことになってしまうと危惧していました。

そこで同国のデータを見たところ2010年代の半ばから4倍強に生産量が増えていました。これは資源量が増えて漁獲量が増えたのではありません。漁船数増加や漁具の発達によるもので、まさに「乱獲」が始まっていることが見て取れます。科学的根拠に基づく数量管理が実施されなければ、生産量が急激に減少し始めて大きな打撃になります。

オマーンの生産量推移 (出所)Global note

生産量が減り出すと、それまで投資された漁船・漁具・加工場などが余剰となり、それらを稼働させるためにさらに「乱獲」が進む。まさに日本全国で起きている負の連鎖と同じことが起きてしまうのです。

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事