親の言うこと聞く子ほど「成績が下がる」ジレンマ 真面目に授業に出ているのになぜ伸びないのか

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みなさんからすれば、「良い子」=「親や先生の言うことをちゃんと聞く子」というのは、一見とてもいい生徒に思えるかもしれませんが、こうした生徒には1つ弱点があります。それは、「自分で答えを考える主体性が育たない」ということです。

良い子は、親や先生から「答え」をほしがり、その答えを自分で考えずに「正しい」と受け入れてしまうので、自分で答えを考えることができなくなる場合があるのです。

例えば、「imply」という英単語があります。この英単語の日本語訳は「暗示する」ですが、ある生徒が単語テストでこの単語の答えを「ほのめかす」と書いていました。

当たり前ですが、「暗示する」というのは「ほのめかす」という意味なので、これは正解になります。でも、その生徒が回答を丸つけするときに、「ほのめかす」と書いた自分の回答に×をつけていました。


「先生から配られた答えのプリントには『暗示する』と書いているから、『ほのめかす』は間違いだと思った」
とのことでした。

その生徒はそこそこ成績がよい生徒なのですが、かなり伸び悩んでいました。きっとその原因は、先ほどお話しした通り、主体性の問題なのだと思います。

「親や先生の言うことが正しい」とだけ考えて、「暗示する」と「ほのめかす」が同じものだと考えることができなくなってしまっているわけです。


相手の意見を100%正しいと受け取る

また、最近「西岡先生、自分はどういう場所で勉強したらいいと思いますか?」と聞いてくる生徒がとても多いです。

正直、どこで勉強してもいいと思うし、個人個人の答えは分かれると思います。「絶対に自室がいい!」ということも、「自習室で勉強しないと必ず落ちる!」ということもないでしょう。でも、彼ら・彼女らは「どこで勉強するか」ということに関しても「答え」がほしいのです。

そして僕が「やっぱり自習室で勉強したほうが捗ると思うよ!」と言った場合、「わかりました! じゃあ自分は自習室で勉強するようにして、家では勉強しないようにします!」と答えます。

相手の意見を100%正しいと捉えて受け入れて、「自分はこうしよう」「ここの部分は参考にしよう」という自分なりの答えを考えないわけです。こういう場合、やはり最後の最後で成績が伸び悩んでしまうんですよね。

以上のことから、先生や親から正しい「答え」を求め、思考を止めているうちは、成績はなかなか上がりません。

自分なりの「答え」を出さないと、うまくいかないんですね。

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