目的地の能都中学校の避難所に着くと、担当の能登町職員から「洋式ですか」と聞かれた。「洋式です」と答えると、能登町職員の顔に笑みが広がった。この避難所には仮設トイレが4つほど設置されていたが、和式のトイレだったようだ。
仮設トイレは最近のタイプは洋式のものも出てきたが、古いものでは和式が主流。中学生くらいの女の子や小学3~4年生くらいの男の子とお母さんが、待っていたようにトレーラーのトイレに入ったという。
田原本町の職員は「今の小学生くらいは、和式のトイレを利用したことがない子が多いのではないか。中学校のトイレは断水で使えず、仮設トイレも和式しかないと、かなりストレスになっていたと思う」と推測した。
トイレトレーラーに水を補給する別動隊も稼働
「災害派遣トイレネットワーク」に参加するのは、全国19の自治体(1県と18の市町)。2024年3月末までにさらに3つの自治体が加わる予定。
災害が起きると、静岡県御殿場市を拠点とする事務局が連絡調整を行う。被災自治体からの要請をもとに、トイレトレーラーと職員を派遣する支援側自治体と派遣先の自治体、設置場所となる避難所と連絡を取り、諸条件を整える。
今回の能登半島地震では上水道システムが壊れ、水の確保が難しく、どの避難所でもトイレの水が流せないという事態に陥っている。トイレトレーラーには満水にすれば約400リットル以上の水が備えられているが、大勢が繰り返し使えば流す水がなくなる。
事務局の矢野忠義さんは「トイレトレーラーに水の補給を行うことが、支援継続の生命線」と考え、派遣の調整と同時に自治体と連携して「給水オペレーション」を進めている。
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