「ID.2all」の計器がビートルやゴルフになる理由 フォルクスワーゲン「らしさの追求」がここに

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「私もアウディやベントレーのデザイン部を経験してきたので、よくわかっているのですが、これらのブランドの特徴は『最も高価』であったり、『最もスポーティ』であったり、『最もアグレッシブ』であったりするわけです。そこで思いました。『私たちフォルクスワーゲンは何だろうか?』と。私の結論は、『ナイスガイではないか』というものでした。シンプルでしょう? それをLove Brandにつなげていくのが目標です」

たとえば、フロントマスクを例にとっても、ID.2allは「ロボコップでなくて、ヒューマンだ」とミント氏は言う。

前輪駆動BEVだからこそのパッケージング

インテリアのデザインにおいても、その思想は同様だ。フォルクスワーゲンは、ID.2allのために、リアにモーターを搭載する既存のMEBプラットフォームでなく、フロントモーター用のプラットフォームを新開発。はたしてその成果が、インテリアの設計にも反映されている。

モーター等はフロントに集約。床面にバッテリーを敷き詰める(写真:Volkswagen AG)
モーター等はフロントに集約し、床面にバッテリーを敷き詰める(写真:Volkswagen AG)

驚くべきは、パッケージングだ。4050mmの全長に対してホイールベースは2600mmと長い。BEVの構造を十分に生かしたものだ。

そもそもフォルクスワーゲンは、パッケージングに秀でた会社。ID.2allも例外ではなく、身長175cmぐらいの(私と違って)脚の長い西洋人が前後に腰掛けていられる室内長を持っていた。

後席は広さもさることながら、クッションを後から貼り付けたような個性的なデザインも特徴(写真:Volkswagen AG)
後席は広さもさることながら、クッションを後から貼り付けたような個性的なデザインも特徴(写真:Volkswagen AG)

さらなる驚きは、積載量の多さ。荷室は、後席を立てたままでも490リッターもある。現行ゴルフ(全長4295mm)が380リッターであることを勘案すると、いかにID.2allのパッケージングが優れているかがわかる。

荷室は2段がまえで、一見「まぁまぁ」という感じの大きさだが、フロアを上げてみると、驚くほど深い。コンセプトモデルを見たときは、ミネラルウォーターのボトルが12本ずつ入った大きなクレートが3箱、収まっていた。

燃料タンクなどがあるガソリン車にはできない、驚くほど深い荷室(写真:Volkswagen AG)
燃料タンクなどがあるガソリン車では実現できない、驚くほど深い荷室(写真:Volkswagen AG)

「BEVで前輪駆動方式であることをフルに生かした設計の結果です」

このクルマのインテリアデザインを手がけた、ダリウス・ワトラ氏はそう説明する。

それでいて、リサイクル素材を積極的に使ったという各パーツの質感も組み付けの精度も高く、上質な雰囲気のある色合いとともに、安っぽさはみじんも感じさせない。これがフォルクスワーゲンのプロダクトの真骨頂だろう。

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