日産自動車が1990年代に生産販売したコンパクトなパーソナルカー「フィガロ」と言えば、少し前までテレビ朝日のドラマ「相棒」で活躍し、現在はTBSテレビ「バナナマンのせっかくグルメ!!」で旅の相棒として登場している。
バナナマンの番組では、鮮やかなレモンイエローとホワイトルーフの2トーンカラーに塗られたフィガロが、日村勇紀さんの運転で快調に走り続けている。クルマにくわしくない人は、これが30年以上も前に作られた国産車だとは思っていないかもしれない。
でも、昔からのクルマ好きであれば、バブル景気のころ、日産が次々に送り出した「パイクカー」シリーズの1台であることを知っているだろう。
パイクカーの中でも別格の仕立て
日産のパイクカーには、フィガロ以外に「Be-1」「パオ」「エスカルゴ」があった。このうちエスカルゴだけは商用車で、ベースは当時の「サニー」だったが、残る3車種はいずれも、初代「マーチ」のプラットフォームやパワーユニットを使った乗用車だった。
Be-1が登場したとき、筆者はすでに自動車メディアで仕事をしていた。Be-1については、生産を担当していた高田工業の工場見学に行った記憶もある。なので、すべて新車として触れたことがあるけれど、フィガロはその中でも別格に感じた。
そう思わせた最大の理由は、ボディ形状がセダンやハッチバックではなく、コンバーチブルだったことだ。
Be-1とパオはいずれも2ボックスで、Be-1は独立したトランクを備えた2ドアセダン、パオは上下2分割のリアゲートを備えた3ドアだった。対するフィガロは、現在の市販車ではダイハツ「コペン」に近い3ボックスのフォルムで、小さめのキャビンともども、パーソナルカーらしさを強調していた。
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