「マーチ」地味なコンパクトカーが残した功績 クルマの世界をおもしろくしてくれた超新星

✎ 1〜 ✎ 27 ✎ 28 ✎ 29 ✎ 30
拡大
縮小
K10という型式で登場した初代マーチ。写真は1983年の3ドア G Collet(写真:日産自動車)
K10という型式で登場した初代マーチ。写真は1983年の3ドア G Collet(写真:日産自動車)

1982年に日産自動車が送り出した初代「マーチ」。全長3785mmのボディに、1.0リッターエンジンを搭載した小さなクルマだが、フルモデルチェンジを迎える1992年までの間に残したものは、意外なほど大きい。クルマにおける「企画力のおもしろさ」を教えてくれたモデルだ。

20~30年以上経った今でも語り継がれるクルマが、続々と自動車メーカーから投入された1990年代。その頃の熱気をつくったクルマたちがそれぞれ生まれた歴史や今に何を残したかの意味を「東洋経済オンライン自動車最前線」の書き手たちが連ねていく。
この記事の画像を見る(29枚)

「マッチのマーチ」のキャッチコピーで鮮烈デビュー

私はマーチがデビューしたときのことを、けっこう鮮烈に覚えている。なめらかな面にボディと段差のないプレスドア。太いリアクォーターピラーも欧州的なテイストで、印象的だったからだ。

当時としては太めのピラーが後ろ姿を印象付けていた(写真:日産自動車)
当時としては太めのピラーが後ろ姿を印象付けていた(写真:日産自動車)

特にリアからの眺めが、すっきりしたボディ面を際立たせていて、「日本車もずいぶん垢抜けたなぁ」と、いたく感心したものだ。現在、いろいろなところで指摘されているけれど、フィアットの「ウーノ]」(1983年)に似ていたのも印象的だった。

一部の資料には、マーチの基本デザインは「ウーノを手がけたイタリアのイタルデザインによるもの」とされている。しかし、イタルデザイン監修の作品集には、マーチへの言及はない。ウーノのプレスドアは「いすゞ・ピアッツァで最初試したもの」とはあるけれど。

フィアット・ウーノにはマーチと共通するデザインテイストが見受けられる(写真:Stellantis)
フィアット・ウーノにはマーチと共通するデザインテイストが見受けられる(写真:Stellantis)

マーチの2300mmのホイールベースも、全長3785mmのハッチバックボディも、衝突安全基準などで車体の大型化が進む今の眼にはだいぶコンパクトに映る。けれど、当時はこのぐらいのサイズが基本だったので、発表時は別段、「小さいなぁ」などとは思わなかった。

マーチは、乗用も商用も広くカバーするマーケティングだったはずで、特に乗用車としては当時、大きかった若者マーケット向けに「マッチのマーチ」なるキャッチコピーを採用。

マッチ(近藤真彦)を起用した鮮烈で、シンプルだがメッセージ性の強いコピーが人口に膾炙(かいしゃ)したものだ。今でも、「マッチのマーチ」と覚えている人がけっこういる。

次ページスーパーターボにパイクカー…、多くの派生車も誕生
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
TSMC、NVIDIAの追い風受ける日本企業と国策ラピダスの行方
TSMC、NVIDIAの追い風受ける日本企業と国策ラピダスの行方
【資生堂の研究者】ファンデーションの研究開発の現場に密着
【資生堂の研究者】ファンデーションの研究開発の現場に密着
現実味が増す「トランプ再選」、政策や外交に起こりうる変化
現実味が増す「トランプ再選」、政策や外交に起こりうる変化
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT