![1990年2月「快適性と走行性能を高次元で両立させたコンフォート・パッケージセダン」をうたい発売された(写真:日産自動車)](https://tk.ismcdn.jp/mwimgs/2/7/570/img_278d73a709aaece8c2bd31c5fc48ebfa173850.jpg)
高性能とかグッドデザインで記憶に残るクルマは多い。そこにあって、1990年に日産自動車が発売した「プリメーラ」は、控えめなスタイリングと、まっとうなエンジニアリングで印象深いという、例外的な1台だ。
1989年の東京モーターショーで「プリメーラX(エックス)」なる名前でもってコンセプトモデルが発表され、翌年に量産車が発売された流れは、私の記憶に鮮烈に残っている。
コンセプトモデルとは似ていないけれど
印象に残っていた理由は、「2台はあんまり似てないなぁ」というものだったから。ショーに出展されたコンセプトモデルは、ものすごいボリューム感のハイデッキとロングテールが印象的。なめらかさが強調されたボディはウインドウとの段差もなく、空力実験車然としていた。
![1989年の東京モーターショーに出品されたプリメーラX(写真:日産自動車)](https://tk.ismcdn.jp/mwimgs/2/9/570/img_29406cd638b2335e4798341ab7109206300516.jpg)
インテリアも有機的なフォルムのダッシュボードと小さな計器類の組み合わせが、たいへん斬新。バランスがとれたプロポーションでなく、いってみれば異形。目的は「新しいクルマが出る」という印象を与えることだったのだろうと思う。
しかし、量産型プリメーラは、「同じクルマですか?」と思わず言ってしまったほど、まっとうなデザインだった。前輪駆動の使い勝手のいいセダンのお手本のようなパッケージである。
実際にプリメーラは、実直さを絵に描いたような機能主義的デザインの3代目「オースター」の後継モデルとして企画された。英国工場で生産されることも共通点だった。
![3代目オースターの中でもとりわけ欧州的なEUROFORMA(写真:日産自動車)](https://tk.ismcdn.jp/mwimgs/e/f/570/img_efcaeb1fc852648630f8313e6b306540174083.jpg)
とはいえ、質感の高さはオースターより格段に上がっていた。プリメーラXでは強調しすぎの感があったが、トランクが厚いハイデッキの機能的ボディでありつつ、ボディとウインドウの段差を極力なくしたフラッシュサーフェス化が図られているのも特徴的。
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