「アルシオーネSVX」贅を尽くしたスバルのGT ジウジアーロが手がけた上品かつ流麗な世界観

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開発コンセプトは「大人の豊かなパーソナルライフを演出する、本格グランドツアラー」(写真:SUBARU)
開発コンセプトは「大人の豊かなパーソナルライフを演出する、本格グランドツアラー」(写真:SUBARU)

1980年代後半から1990年代初めにかけての、いわゆるバブル景気の時代には、それまで考えられなかったような贅沢なクルマが、日本から次々に登場した。

ホンダのスーパースポーツ「NSX」や、16年ぶりに復活した日産「スカイラインGT-R」、北米ではレクサス「LS」として販売されたトヨタ「セルシオ」は、多くの人が覚えているだろう。

この時期は、それ以外の自動車メーカーもチャレンジングだった。中でも印象に残っているのが、1989年の東京モーターショーでコンセプトカーとして出展され、2年後に発売されたスバル(当時の社名は富士重工業)のパーソナルクーペ「アルシオーネSVX」だ。

20~30年以上経った今でも語り継がれるクルマが、続々と自動車メーカーから投入された1990年代。その頃の熱気をつくったクルマたちがそれぞれ生まれた歴史や今に何を残したかの意味を「東洋経済オンライン自動車最前線」の書き手たちが連ねていく。
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スバル・フラッグシップの2代目として

「アルシオーネ」という車種は、それ以前からあった。スバルは「レガシィ」の前の主力車種である「レオーネ」の4WDが北米で人気となったことから、北米市場を重視することになり、フラッグシップとして開発されたのがアルシオーネだった。

しかし、極端なウェッジシェイプのフォルムは好き嫌いがはっきり分かれたし、当初のエンジンはレオーネと基本的に同じ1.8リッター水平対向4気筒ターボだったので、パフォーマンスはいまひとつだった。

SVXとなる以前の初代アルシオーネ(写真:SUBARU)
SVXとなる以前の初代アルシオーネ(写真:SUBARU)

途中でシリンダーを2つ追加した2.7リッター水平対向6気筒自然吸気エンジンを投入してグレードアップを図ったものの、デザインはそのままだったこともあり、挽回はできなかった。

こうした経緯もあって、2代目アルシオーネであるSVXは、スタイリングをジョルジェット・ジウジアーロ氏が率いていたイタルデザインに任せることにした。

ジウジアーロ氏が関わった日本車といえば、いすゞ「117クーペ」、初代「ピアッツァ」をはじめ、スズキの4代目「キャリイ」や「SX4」、ダイハツの2代目「ムーヴ」、トヨタの初代「アリスト」などがあるが、スバルとのコラボは初めてだった。

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