スタイリングは、エッジを効かせた初代アルシオーネとは対照的に、滑らかな曲面で構成されており、大人っぽさを感じさせた。前後のブリスターフェンダーも控えめで、品の良さが伝わってきた。
初代ではリトラクタブル式だったヘッドランプは薄い固定式とされ、グリル部分もクリア素材を使用することで、一体感を表現。リアコンビランプも薄型で、SVXのロゴが入った樹脂製ガーニッシュでつないでいた。
LEDでないことを除けば、最近のデザイントレンドにも通じるディテールであり、前後の処理を共通として「クルマとしての統一感」を表現したことを含めて、ジウジアーロが非凡な才能の持ち主であることを、改めて教えられる。
飛行機メーカーをルーツとするスバルらしく、キャビンがルーフを除き全面ガラス張りで、飛行機のキャノピーを思わせたことも印象的だった。
そのため、曲率の小さいサイドウィンドーは真ん中にフレームを通してその下だけが開閉する、ミッドフレームウィンドーを採用した。外国車ではランボルギーニ「カウンタック」などに例はあるが、日本では初めてだった。
流麗なデザインはインテリアにも
インテリアは、社内デザインスタジオが担当。メーターからセンターパネルにかけては、1989年発売の初代レガシィに似ておりオーセンティックだが、インパネからドアのアームレストにかけての流麗なライン、アーチ型のヘッドレストなど、独特のエクステリアデザインを反映したような造形も見ることができた。
4スポークのステアリング、L字型のセレクターレバーとパーキングブレーキレバーは、当時スバルのデザインスタジオに在籍していたミュージシャンのパラダイス山元氏が担当したという。
クーペでありながら、後席にも大人が座れるスペースを用意していたのは、パッケージングを重視するジウジアーロ氏が手がけたおかげかもしれない。筆者が所有したアルファロメオ「2000GTヴェローチェ」やマセラティ「3200GT」もそうだった。
メカニズムは初代レガシィと共通部分が多く、初代ではリアにセミトレーリングアームを使用していたサスペンションは、前後ともマクファーソンストラットとなった。
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