1990年代のホンダには、魅力的なスポーツカーが多かった。F1テクノロジーの詰まった「NSX」が1990年に発売され、翌1991年にEG型「シビック」、1993年にDC型「インテグラ」、そしてシビックやインテグラの初代タイプR、1999年にFRスポーツ「S2000」など、ホンダを象徴するスポーツカーが誕生した。
その中でも異質な存在がミッドシップレイアウト+オープンボディの軽自動車「ビート」。そのレイアウトやボディはもちろん、ホンダがF1で培ったテクノロジーを手軽に楽しめる軽自動車に応用したことなどは衝撃的だった。
ミッドシップ+2シーターオープンを採用した理由
ホンダの軽自動車であるビートは、バブル景気が弾けた1991年に発売された。ただ、当時はまだバブルの余韻も残り、ビートもバブル絶頂期に開発が進められたモデルになる。
1980年代から1990年代初頭は、ホンダ「プレリュード」や日産「シルビア」などのデートカー、またトヨタ「ソアラ」「マークⅡ」などのハイソカーがブームだった。そんな時代に「操る楽しさを知ってもらいたい」という願いを込めてビートは企画され、2輪車感覚で乗れる運動性を目指し、初期段階からミッドシップで開発が進められる。
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