「ID.2all」の計器がビートルやゴルフになる理由 フォルクスワーゲン「らしさの追求」がここに

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「市街地にもよく合うクルマ」というのが、このクルマの特徴。もうひとつ(そしておもしろい)特徴として、「Love Brandを具現化したクルマ」だとフォルクスワーゲン乗用車部門のトーマス・シェファーCEOは言う。

「私たちは顧客に寄り添っていたいと思っており、そのためにトップテクノロジーとファンタスティックなデザインのプロダクトを具現化していきます」

そのためだろう。ID.2allは、ID.シリーズに属していながら、デザインアプローチはけっこう違って見える。

ID.シリーズの第1弾として登場した日本未導入のID.3(写真:Volkswagen AG)
ID.シリーズの第1弾として登場した日本未導入のID.3(写真:Volkswagen AG)

これまでフォルクスワーゲンがヨーロッパを中心に送り出してきた「ID.3」「ID.4」「ID.5」「ID.7」といった一連のモデルのなかにあって、ちょっと異色だ(ID.4だけは日本にも導入されている)。

むしろ、現在のラインナップにぽんっと放り込んでポロや「ゴルフ」と並べても、違和感のないデザインとなっている。

「フォルクスワーゲンとはどうあるべきか」の答え

「ID.2allは今、“本当のフォルクスワーゲン”になるべく、開発をしている最中です。本当のフォルクスワーゲンになるには、マチルダやリリー、あるいは単にバグ(カブトムシ)といった愛称をつけられたり、分解されオーナーのお好みに応じて改造されたりしなくてはなりません。どんな技術を使っていても、人が中心にいなくては本当のフォルクスワーゲンにはならないのです」

これは、発表会の会場で乗用車部門のヘッドオブデザイン(デザイン統括)を務めるアンドレアス・ミント氏が見せてくれたビデオの一節だ。

ID.2allの車内で説明をするアンドレアス・ミント氏(写真:Volkswagen AG)
ID.2allの車内で説明をするアンドレアス・ミント氏(写真:Volkswagen AG)

「私が11カ月前に現在のポジションに就任してから、『フォルクスワーゲンとはどうあるべきか』を考えてきました。フォルクスワーゲンは最も愛される量産車ブランドであるべきだというのが結論です」

ミント氏は、数カ月前にポルシェ、ランボルギーニ、ベントレーといった、フォルクスワーゲングループ傘下のブランドのクルマをすべて投資家の前に集め、デザインの方向性をプレゼンしたときのことを話してくれた。

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