「ID.2all」の計器がビートルやゴルフになる理由 フォルクスワーゲン「らしさの追求」がここに
「ダッシュボードにも、注目してほしいデザインがあります。フォルクスワーゲンがLove Brandになるために重要だと、私が考えていることです」とミント氏。そして「車内に来てください」とつけ加えた。
一緒にID.2allのインテリアコンセプトモデルに乗り込むと、ミント氏はセンターコンソール上に設けられたVW印のダイヤルを回した。するとVWのマークが消え、かわりに城門の上にオオカミが1頭いる絵が現れた。かつて、ビートルのステアリングホイールボスにあったヴォルフスブルクの紋章だ。
同時にドライバー正面のデジタル計器盤に、当時のビートルを思わせる速度計を中心とした図案が出現。もう一度、ミント氏がダイヤルを回すと、ビートル風の計器が今度はゴルフのそれに変わった。
「こういう遊び心を私はシークレットソースと呼んでいて、これらを随所に盛り込んでいきたいと思っています」とニヤリと笑いながらミント氏。
「ライカブル(好かれること)、ステイブル(走りのよさを感じさせること)、そしてシークレットソース。3つのピラーがLove Brandになるために重要なことだと考えています」
本当のフォルクスワーゲンがここにある
そういうわけでフォルクスワーゲンは、大人が4人で乗れて荷物をたくさん積めて、一充電で450km走れて、従来のフォルクスワーゲン車のように、生活のなかに溶け込める……、そんなクルマをID.2allで実現しようとしているのだ。それが理解できた。
これ、ほかのメーカーではなかなかやっていない。私が「半年に1台は新車を出さないと市場で忘れられてしまうという危機感を表明するメーカーもありますが……」と言うと、ミント氏は「それは大丈夫。むしろフォルクスワーゲンらしさを失ったときのほうが危機です」と答えたのだった。
正式発表は2025年で、ヨーロッパでの発売は2026年から。価格は2万5000ユーロ以下と発表されている。
「フォルクスワーゲンはピープルズカー、『誰もが乗れるクルマ』という意味ですから」と、デザイナーのワトラ氏がつけ加えたのも、私の印象に強く残った。
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