人気漫画家・望月ミネタロウが語る創作の源泉 バタアシ金魚、ドラゴンヘッド…傑作誕生秘話
──デビュー作から最新作まで、まるで過去の自分を一度破壊して新たに再生するかのように、常に変化と進化を続けてこられました。それはやはり意図的というか、同じようなものは描きたくない、新しいものに挑戦したいという気持ちがあるのでしょうか。
自分でも何でかとは思います。そのたびにそれまでの読者や編集者の信用をもう一度取り返さなきゃならないのに、なんかそういうことをしちゃうんですよねぇ……。それで僕から去って行く読者や編集者もいるのに。
ただ意欲の源となるのは、ジャンルとか自分の過去作とか、その時点での自分のスキルとかあまり関係なく、純粋にそのときに描きたいと思ってたものです。だから、あとからいろいろ後悔したり恥もかいてきたけど、時間は前にしか進まんし、過ぎた作品に執着してもしょうがない、まあいいや、また次ゼロからやればいいや、と今までずっとそんな感じです。
何よりやってはいけないのは、疑問を感じてたり、つまらないと思いながら仕事をすることだと思っています。だから、描きたいものを描かせてもらえている状況というのは、大変ありがたいことだと思ってます。
昔から基本的にネームは見せない
──今は完全デジタルですよね?
そうですね。フルデジタルです。
──もう下絵の段階から紙は一切使わない感じですか?
一切使わないですね。
ただ、僕はデジタルだ、アナログだという次元では考えていなくて、どっちでも使いやすいほうを使えばいい、いいとこだけ取ればいいやと思っていて、今はたまたまフルデジタルなだけです。
──いつ頃からデジタルを導入されましたか?
『東京怪童』(講談社「モーニング」2008年~2010年)のトーン貼りぐらいからですかね。妻が自作でパソコン組むぐらいデジタルに明るいので、いろいろ教えてもらいました。フルデジタルになったのは『犬ヶ島』(講談社「モーニング」2018年)ぐらいからかな。