人気漫画家・望月ミネタロウが語る創作の源泉 バタアシ金魚、ドラゴンヘッド…傑作誕生秘話
──『バタアシ金魚』(講談社「ヤングマガジン」1985年~1988年)とかの頃は当然アナログなわけですが、当時はペンは何を使っていらっしゃいました?
カブラペンです。最初Gペンで描いてたんですけど、筆圧が強いんでどんどん太くなっちゃうんですよね。それで、ちょっと硬めのペンがいいなというんでカブラペンにしました。それからずっとカブラペンです。
昔は「筆ペンはこれ!」とか職人っぽくこだわっていましたけど、今は全然こだわりないです。
──筆ペンはどこにこだわるんですか?
発色ですね。いかにムラなく塗れるかという。どこのメーカーのを使ってたか、もう忘れちゃいましたけど、一人で原稿見てほれぼれしてました。筆ペンで塗ろうがマジックで塗ろうが、印刷したら関係ないんですけどね。
「ポストプロダクション」の部分に時間をかける
──最近の『没有漫画 没有人生』(小学館「ビッグコミックオリジナル」2022年~2023年」)だと、ネーム、下絵、ペン入れ、仕上げの時間配分ってどんな感じですか?
決まってないです。なぜ決まってないかというと、ネームをギリギリまでやっているから。いつも「もう原稿にかからなきゃヤバい!」というギリギリまでやっているので、その後のことはあまり記憶にないことが多いです。
というのも、話を考えるだけじゃなくて、映画で言うところのポストプロダクションの部分にすごく時間をかけるんですよ。読者が読むスピードや次のシーンに移る前に息を整えてもらう間とか、そういうことをすごく考えてページのアレンジやコマ割りを作るので、絵に行くまでに時間かかっちゃうんです。
ネームが早くできたら──できることないですけど──ほかのところに時間を取る感じなので、どれが何日とかはあんまり決まってないですね。
──ネームに絵は入ってるほうですか?
自分だけがわかるくらいの絵しか入っていません。ずっと編集さんにはネームを見せないでやってきました。見せろと言われたら見せますけど、見せると必ず直しが入ってぐちゃぐちゃになって、結局ボツになるケースが多いんです。だから、相手がどれだけ僕のことを信用してくれるかっていう話なんですけど。
『東京怪童』のときなんかは編集さんが毎回原稿を取りに来てくれてたんですけど、いつもめちゃめちゃ不安がってましたね。