ソフトウェア、データ、研究開発、設計、ブランド、研修などの無形資産への投資は何十年にもわたり着実に増大し続けてきた。そうした無形経済は知識経済やポスト工業社会と結びつけられやすいが、同一視するのは問題があるという。
『フィナンシャル・タイムズ』ベスト経済書として話題となった『無形資産が経済を支配する』の著者による最新刊『無形資産経済 見えてきた5つの壁』から一部抜粋・編集のうえお届けする。
「知識経済」と「無形資産」は同一ではない
10年以上前に無形経済について初めて執筆して以来、我々はじつに様々な実業家、ジャーナリスト、投資家、経済学者、政策担当者とそれについて話をしてきた。ひとつ気がついたのは、人々はときにそれが何を指しているかについて、まちがった思い込みをしている、ということだ。
特に人々は無形投資を、他の現代的な経済現象、例えば知識経済やポスト工業社会と結びつけたがるようだ。またそれをハイテク部門や、場合によっては何やらディストピア的現代性と結びつけたがる。こうした関連づけは誤解のもとなので、いくつか主要な用語、トレンド、現象をもっと細かく見よう。
「知識経済」という用語を提唱したのはフリッツ・マハループで、1962年の本で無形投資を計測すべきだと提案した。これはその後、経営学の大物ピーター・ドラッカーにより広められた。もっと最近では2013年OECDの無形資産に関する報告書がそれを「知識ベースの資本」と表現している。
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