大いなる経済的失望とその兆候
今日の経済状況を考える時には、つい「こんなはずではなかった」と思ってしまう。世界はかつてないほど豊かで、驚異的なテクノロジーが生活のあらゆる側面を変えつつある──それなのにみんな、経済的観点からすると、何かがおかしいと確信しているようだ。
1970年代末のイギリスでは、何かがおかしいというのはあまりに明らかに思えたので、名前がついたほどだ。イギリスは「ヨーロッパの病人」と呼ばれた。今日の富裕国が直面する問題に名前をつけた人はいないが、各国で次から次へと5つの症状が見られるようになっている。停滞、格差、競争不全、脆弱性、正統性欠如だ。
こうした症状が特筆に値するのは、それが客観的に見て望ましくないばかりでなく、伝統的な経済的説明に沿わなかったり予想外のパラドックスを示したりしていて、いささか説明がつかないからだ。それらをここで簡単に紹介しよう。


















