減速する「無形資産経済」見えてきた5つの「壁」 テクノロジーの進歩が成長に結びつかない世界

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アメリカに製造業雇用を取り戻すというのが、2016年のドナルド・トランプの大統領選挙の公約で最も響いたものだった。歴代のイギリス政府は、世界金融危機への対応として「新たな産業、新たな雇用」や「製造業者の躍進(March of the Makers)」で対応すると約束した。

こうした約束はどれも守られなかったが、そんな約束がそもそも行われたということ自体、われわれが「モノづくり」に回帰すべきだという発想の人気と、現代経済活動の多くが正真ではないという疑念を強く示している。

ますます余裕のない労働生活

経済や社会はしばしば、不穏な時期を経験する。だがここに挙げた5つの問題が共存しているというのは、ことさら不思議でパラドックスめいている。経済停滞は昔もあった。だが今日ではそれが低金利、高い企業利潤、目のまわるような技術進歩の時代に生きているという広範な信念と共存している。

物質的な格差の拡大は低下してきたが、その影響や結果──地位の格差、政治的二極化、地理的分断、コミュニティー荒廃、自殺などの夭逝──は増え続けている。そして、新興企業は減ってトップ企業と後続企業との間の業績ギャップは固定化したため、競争は低下したように思える。だが管理職も労働者も、労働生活はますます余裕がないものになりつつある。

本書は2つの大きな問題に答える。何がこうした症状を生み出しているのか、そしてそれにどう対応すべきか?

(翻訳:山形浩生)

ジョナサン・ハスケル インペリアル・カレッジ・ビジネススクール経済学教授

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Jonathan Haskel

スティアン・ウェストレイクと2017年インディゴ賞を共同受賞した。

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スティアン・ウェストレイク イギリス全国イノベーション財団ネスタ・シニアフェロー

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Stian Westlake

ジョナサン・ハスケルと2017年インディゴ賞を共同受賞した。

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