世界展開で「日本語」のパーパスを掲げる意義 SDGsに迎合したような英語のフレーズは使わず

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また、同インタビューで澤田氏は「グローバルで存在感のある会社」を願い、「『イノベーションの花王』と評価もされたい」と語っています。

同社の海外売上高比率はまだ40パーセント程度ですが、ここ数年、中国を中心に海外での売上高比率を伸ばしています。

花王の取り組みには私も関わっています。2018年に開かれたESGラウンドテーブルでは、澤田氏を含めた全経営幹部がESGのグランドデザインを議論する会議に私も参加し、CSV(Creating Shared Value=共通価値創造)を含めた世界の動向についてお話ししました。

新SDGsにマッチした取り組み

また、その前後に行われた「Kirei Workshop」では、半日間、私がファシリテーター役を務め、各世代の部門から選ばれたトップクラスの人たちが、「『個人』のKireiの実現」「『コミュニティ』のKireiづくり」「『地球』の未来 Kireiの保全」の3つのテーマについてブレーンストーミングを行いました。

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花王のパーパスでは、私が提唱している「新SDGs」(サステナビリティ・デジタル・グローバルズ)の視点がしっかりと踏まえられていると感じます。「サステナブル」はもちろんのこと、「グローバルズ」もしっかりと意識していることは、澤田氏の発言からもわかります。

花王はデジタル活用についても極めて先進的です。中でもR&D領域での成果が目覚ましく、2018年には先端技術戦略室(SIT)を発足させ、DXを推進しています。

例えば、人工皮膚「Fine Fiber」を開発したり、花王の皮脂RNAモニタリング技術を活用した、乳幼児の肌バリア状態を把握する検査サービス「ベビウェルチェック」が、2023年3月に名古屋大学発のベンチャー企業であるヘルスケアシステムズから発売されたりしています。

花王の「Kirei」は、非常に多様性のある言葉であるとともに、誰にとってもイメージしやすい、大企業をまとめるにふさわしいパーパスと言えるのではないでしょうか。

名和 高司 京都先端科学大学ビジネススクール教授、一橋ビジネススクール客員教授

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なわ・たかし / Takashi Nawa

1980年東京大学法学部卒業、三菱商事入社。90年ハーバード・ビジネススクールにてMBA取得(ベーカー・スカラー)。その後、約20年間、マッキンゼーのディレクターとしてコンサルティングに従事。10年より一橋大学教授。22年より現職。ボストン コンサルティング グループ、アクセンチュアのシニアアドバイザー、ファーストリテイリング、デンソー、味の素などの社外取締役を歴任。現在、SOMPOホールディングスの社外取締役、朝日新聞社の社外監査役など。著書に『パーパス経営』(東洋経済新報社)、『超進化経営』(日本経済新聞出版社)、『問題解決と価値創造の全技法』(ディスカヴァー21)などがある。

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