「宗教」と「優れた企業経営」には実は共通点があり、「現代の強い企業」は、いい意味で「宗教化」していく。
それらの主題をもとに、世界の宗教事情に精通したジャーナリストの池上彰氏と、『両利きの経営』の解説者で早稲田大学教授の入山章栄氏が語り合った『宗教を学べば経営がわかる』が発売された。
同書を再編集しながら、「宗教」と「優れた企業経営」を理解するうえで最重要理論のひとつ「センスメイキング理論」に触れつつつ「日本人リーダーに決定的に足りない『腹落ちさせる力』」について、入山氏が解説する。
世界で成功するグローバル企業は「腹落ち」を重視
今後、より不確実性が高まる「正解のない時代」となると、どんな人も何かしら「自分が信じる、腹落ちできる心の拠り所」を欲する。それは宗教でも「人と組織の集まり」である企業経営も同じである。
そして世界の経営学では、この「腹落ちできる心の拠り所」の重要性を説明する経営理論がある。それが前回の記事で解説した「センスメイキング理論」だ。
「センスメイキング理論」の実務的示唆は、「目先の正確性」ではなく、「20~30年後、場合によっては50年後、100年後の遠い未来」に向かって、「自分たちの会社はこういう未来を作りたい」という「腹落ち」を醸成し、行動していくことにある。
多くの日本企業の弱点は、言葉だけのパーパスやビジョンは掲げても、未来に向けての「本気の腹落ち」を経営者が重視しないことであり、あるいはやったことがないので「どうしたらいいかわからない」ことだろう。
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