他方、世界で成功するグローバル企業は驚くぐらい、この「腹落ち」を重視している。ユニリーバ、デュポン、ネスレなどはその代表だ。
加えて、革新を引き起こす起業家も多くがこの「腹落ち」をさせる達人というのが、私の理解である。
スティーブ・ジョブズも米セールスフォースの創業者であるマーク・ベニオフもそうだし、イーロン・マスクに至っては「人類の滅亡を防ぐ」ために、火星に人を移住させようとしている。
その世界観に共感・腹落ちした、多くの一流人材が、厳しい労働環境でもイーロン・マスクの下に集まってくるのだ。
日本で巨大な実績をあげた経営者も、多くが「腹落ち」をさせる達人である。
「自分は仲間に夢だけは見させられる」
たとえば、日本電産(現ニデック)をゼロから立ち上げて売上高2兆円企業にした永守重信氏もまさにそんな一人だ。
私は何度かお話をうかがっているが、同氏はお会いすると、いつも30年先の未来を語る。
「自分は仲間に夢だけは見させられる」と豪語されていたのを今でも覚えている。だからこそ、あそこまでの会社になったのだろう。
日本の場合、高度成長期からバブル期にかけて、「センスメイキング」なしでもやっていける特殊な時代があった。安定した右肩上がりの流れに乗って、現場が強かったので、なんとなく利益を出すことが可能だったのである。
しかし、バブルが崩壊し、流動性の高い不安定な時代がやってくると、多くの企業が苦境に陥った。センスメイキングが足りないことが露呈したのだ。
では、センスメイキングのために、企業やリーダーたちは具体的に何をすべきなのだろうか?
無料会員登録はこちら
ログインはこちら