世界展開で「日本語」のパーパスを掲げる意義 SDGsに迎合したような英語のフレーズは使わず
同様に日本語をうまく用いたパーパスを掲げているのが、生活家庭用品のナンバーワン企業である花王です。
2019年4月、当時社長だった澤田道隆氏(現会長)は「Kirei Lifestyle Plan」を発表しました。
「Kirei」を世界に届ける花王
花王のホームページでは「Kirei Lifestyle」について、次のような説明をしています。
Kirei Lifestyleとは、すべてにおもいやりが満ちていること。
自分自身の暮らしが清潔で満ち足りているだけでなく、
周りの世界もまたそうであることを大切にすること。
Kirei Lifestyleとは、こころ豊かな暮らしが、
今日だけではなく、これからも続くと安心できること。
日々の暮らしの中で、たとえ小さなことでも、
正しい選択をして、自分らしく生きるために。
花王はこうしたKirei Lifestyleが
何よりも大切だと考えています。
だからこそ、決して妥協をせず、
正しい道を歩んでいきます。
世界中の人々のこころ豊かな暮らしのために、
私たちは革新と創造に挑み続けます」
花王は、「Kirei Lifestyle」のための革新と創造に挑み続けることを自社のパーパスとして宣言しています。
キレイという言葉には「美しさ」という意味に加え、「清潔」「整っている」という意味も込められています。そこには、単に見た目だけではなく、生活の姿勢や振る舞い、自然を大切にして慈しむ気持ちも含まれています。それが、日本語の「Kirei」(キレイ)という言葉を選んだ理由でしょう。
グローバル企業では、わかりやすさを求めるあまり、SDGsに迎合したような英語のフレーズを使いがちです。しかし、あえて日本語を持ってきたところに、花王の志の高さを感じます。「Kawaii」同様、「Kirei」もまた、世界の共通語にしたいという意思の表れでしょう。
澤田氏はインタビューの中で次のように語っています(澤田道隆「C-SUITE INTERVIEW 自らの殻を破り、世界での勝ちパターンを築く ESGを経営戦略のど真ん中に据える」『ダイヤモンドクォータリー』2019年冬号)。
「最終的にはこれだけは実現したい。世界の人々に『Kao』を知っているかと尋ねれば、『あのKireiブランドの会社ね』と言われること。われわれが本気でESG経営を実践すれば、それは実現できると信じている」
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