4位は富士フイルムホールディングス(85.1点)。女性の活躍29.1点、育児・介護24.5点、働きやすさ31.5点だった。
女性社員比率は全体の16.3%と少数派だが、配偶者の転勤や育児等の理由による退職者の再入社制度、女性メンター制度といった先進的な制度は導入済み。さらに産休・育休期間を短期間や複数回など柔軟に設定可能、育児サービス費用の補助など各自が考えるキャリアを継続できるよう配慮されている。女性管理職も4.1%と製造業では高い水準で責任ある立場への登用も進みつつある。
以下、5位東京海上ホールディングス(85.0点)、6位髙島屋(84.9点)、7位富士通(84.1点)、8位ANAホールディングス(83.9点)と続く。
上位には女性従業員が多い企業が目立った。もともと多数の女性が働いており、戦力となった従業員が出産を機に辞めなくてもよいよう両立支援制度が徐々に整えられてきた経緯がある。具体的には長期の育児休業や時短勤務などの各種制度の整備に加え、子育て中や管理職といったさまざまな女性のネットワーク作りが代表的な取り組みだ。さらに最近は女性の多さに見合った管理職比率に高める動きも進んでいる。
一方で、4位富士フイルムや7位富士通などはこれまで少なかった女性を徐々に増やしている段階だ。各種制度面ではすでに女性が多い企業と遜色ないレベルにある。
よりこまやかな対応が必要
ただ、人数が少ないため子育て中の女性従業員が孤立したり、目標を見失ったりするという問題も起きやすい。そのため社内の女性のネットワーク化やメンター制度、さらに同じ立場にある社外の女性とのコミュニケーションの場作りなど、よりこまやかな対応が必要とされる。
上位企業全体の特徴としては、各社にあった制度導入はもちろんだが、女性人数に関わらず、横や縦のつながりを会社側が用意するケースが多い。女性のやる気を引き出していくネットワークの構築が「女性活用」の成功に欠かせないようだ。
女性が少ない製造業でも、勤続年数の男女差にほとんど差がない企業は多くある。たとえば、富士フイルムは男性18.6年に対して、女性16.4年。管理職登用はまだまだだが、女性にとって働きやすい職場ではありそうだ。これらの企業が将来の人材確保や外部の圧力から女性の役職登用を真剣に考えるようになってきている。こうした変化が日本全体に広がっていくと、女性活用も大きく進む可能性が高い。
今回は300位までご紹介したが、各社と部門別内訳の上位企業の各得点と比較することで自社の弱いところがわかるだろう。その際に『CSR企業総覧』もあわせてご覧いただきたい。
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