完全失業率3.3%は18年ぶりの低水準。有効求人倍率1.17倍は23年1カ月ぶりの高水準(いずれも季節調整値)――。
総務省と厚生労働省がそれぞれ5月末にまとめた今年4月の労働関連統計は、景気回復を背景に、日本の雇用環境がここ20年で最高水準に改善してきていることを改めて示した。
人手不足で転職市場も活況
一定期間(通常2カ月)内の求人数に対し、どれぐらいの求職者がいるかを示す有効求人倍率は、2013年11月に人手不足の目安となる1倍を約6年ぶりに回復。その後も雇用の過剰感がどんどん薄まり、企業は採用姿勢を積極化。その波は新卒だけでなく中途採用にも及んでいる。
では、人手不足も指摘されるこの環境下で、中途採用により転職者を多く受け入れている企業はどこなのか。東洋経済オンラインは、『会社四季報』編集部と協力して、2014年度(2014年4月~2015年3月、一部予定含む)に中途採用者を多く獲得した上場企業を独自調査。上位500社をランキングにして紹介する。
今回の中途採用について回答した企業は、上場企業約3500社のうちの2848社(回答率は約80%)。原則は上場企業単独をベースとしているものの、一部はグループ会社を含んでいたり、持ち株会社傘下の事業会社ベースでの回答となっているケースもある。
調査票は1月中旬に発送し、原則として締め切りに設定した2月19日までに回答した企業に限っている。参考データとして各社の2016年春の新卒採用予定や従業員数、平均年収、平均年齢などの情報を加えた(会社四季報2015年春号掲載データを使用)。
中途採用を実施したと回答した企業の平均は25人。回答企業のここ1年の中途採用者をすべて合計すると約7万2400人にも上った。回答したものの採用ゼロだったのは366社と全体の1割強。中途採用をしなかった企業のほうが圧倒的に少数派になった。
1位はテクノプロ・ホールディングス。国内最大の技術系人材サービスグループで、幅広い領域で派遣・請負事業を展開している企業だ。2014年度はグループ全体で1900人を中途採用で受け入れた。連結従業員数は2014年9月時点で1万人強の所帯で、ここ1年で急激に人員を増やしている。同社のような純粋持ち株会社は、ランキング図表で従業員数が少なく出ていることがあるので、ご留意いただきたい。
上位には非製造業系のサービス業を手がける企業が相対的には多いものの、大手メーカーでも積極的に中途採用で人員を増強している例は少なくない。
日経平均株価が15年ぶりに2万円の大台を回復したことが象徴するように、日本の景気や企業業績の先行きに対しては強気な見方が少なくない。今2015年度(2015年4月~2016年3月)についても、前年度並み以上の高水準の採用が続きそうだ。この傾向は上場企業だけに限らないだろう。転職を考えているビジネスパーソンにとってのチャンスが広がっている。