撮影からポストプロダクション(撮影後の作業)に費やされた時間は相当なものです。撮影期間は約10カ月、ポストプロダクションには2年かけたそうです。撮影前の脚本作りや諸々の調整期間と合わせると、総製作期間は5年というNetflixの日本作品の中でも時間をかけた作品になります。
世界配信される前日の12月13日、海外プレス向けに開催された「Netflix APACショーケース」に出席した月川翔監督が「日本人ってやりすぎてしまうぐらい丁寧に仕事をし、ちょっとのズレも妥協を許さない。逆にだからこそハリウッドよりクオリティーを上げることができるんじゃないかと、信じてやり抜きました」と語っていたのが印象的でした。
ハリウッド流でも日本流でもない技術スタイル
また技術チームの中心人物となった坂口亮氏が「VFXの難易度は最高レベル」と話していた言葉も決して大袈裟ではなさそうです。坂口氏は映画「デイ・アフター・トゥモロー」でVFXを駆使したニューヨークの洪水シーンなどを代表作に持ち、海外のVFX業界の第一線で20年以上にわたり活躍する人物です。
そんなあらゆる技術力が求められる作品に参加してきた坂口氏が「俳優たちが演じた感情まで十分に感じることができるCGクリーチャーはこれまでにないもの」と言い切り、ハリウッド流でも日本流でもない独自の技術スタイルが実写の「幽☆遊☆白書」には詰まっているのです。
実現するには制作費が物を言います。時間をかける分、必然的にコストは上がるわけで、闇雲に製作期間が伸びたわけではありませんから、つまりそれだけ実写版として見応えのある映像を追求できる費用を揃えることができたと言えそうです。人気漫画の実写化は時に厳しい評価を受けますが、作品の世界観と乖離してしまう要因のひとつに制作費の限界があったのも事実です。その点において「幽☆遊☆白書」はこれまでのハードルを突破して作られているというわけです。
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