ちなみに、現在でもスタバに行くと、「本日のコーヒー」の1種類として「パイクプレイスロースト」というコーヒーを飲むことができるが、それはスタバがその原点である場所を忘れないように、メモリアルなブレンドとして作ったコーヒーである。
かくしてスタバの1号店はシアトルに誕生したわけだが、この1号店、現在われわれが知っているスタバの姿とは大きく異なる店舗形態だった。実は、スタバのはじまりは喫茶店ではなく、コーヒー焙煎店、つまりコーヒー豆を売るショップだったのである。
いわば、カルディのようなものかもしれないが、現在われわれがイメージするスタバとは異なるものだったことを確認しておきたい。
地元密着型の店としてのスタバ
このように初期のスタバは現在われわれがイメージするスタバとは異なる姿を持っていた。
それは店舗形態だけではない。スタバといえば、世界中のどこにでもある「グローバルチェーン」としてイメージするかもしれないが、実は当初のスタバはまったくそんなことはなかった。どちらかといえば、開業当初は地元密着型の個人経営のコーヒー焙煎店、という姿に近かった。シアトルに根付くローカルな店として始まったのだ。
スタバを立ち上げた3人について、ジョン・シモンズはこのように書いている。
「スターバックスが始まったのは、3人の創業者が高品質のコーヒーに絶対的なこだわりを持っていたからで、彼らの頭には企業帝国を築くことなど微塵もなかった」(『スターバックスコーヒー 豆と、人と、心と。』)
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