現役時代に家を賃貸にすべきか、購入しておくべきかというよく聞かれる比較論に、定年後の移住成功者の目線で答えを考えてみたいと思います。ここ3年ほど、退職を機に地方都市に移住した60代の方々にインタビューを続けていて、その数はすでに30人を超えています。そこで今回は、その中から住宅にまつわるエピソードを3つ紹介したいと思います。
高級賃貸→実家に戻って親元暮らし
ケース1.現役時代に家は買わなかったKさん
最初は定年を機に倉敷に移住されたKさん。大手製薬会社で営業職を続けてきたKさんは、奥様とはかなり前に離婚し、退職を機に1人暮らしをしている母と一緒に住むために倉敷市に移住しました。
現役時代は、単身生活だったことに加え、転勤が多かったことから家を買うというモチベーションはまったくなかったようです。会社の家賃補助など手厚い福利厚生制度があったので、何となくいいマンションを借りて賃貸生活を続けていたのですが、定年になると家賃負担が一気に重く感じるようになり、親元に戻って生活をすることを決断しました。
Kさんは現在、完全な無職。ただ退職金3000万円は手つかずに残っており、自身の厚生年金13万円程度と母親の遺族年金10万円で「普段の生活に特に不自由はない」とのことです。
とはいえ築年数の経過で近い将来住宅のリフォーム費用が懸念され、また母親の介護が必要になった時にどうなるのか、自分が1人になった時にどういった生活になるのかも気になっている様子でした。
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