ただし、似ている部分もある。フロントマスクだ。4つのボディすべてが、LEDを生かした細いヘッドランプと、その下の大きな開口部という共通項を持つ。ハンフリーズ氏も「ヘッドランプは統一感を持たせた」と語っている。これが新しい“クラウンらしさ”ということなのだろう。
それ以上に統一感があるのはインテリアで、端正なT字型のインパネ、メーターとセンターパネルをつなげた横長のディスプレイ、インパネからセンターコンソールやドアトリムへのつながりなど、共通している部分が多い。
「変わった」こと「変わらない」こと
前にも書いたように、セダンと他の3つのボディはパワートレインのレイアウトがまるで異なる。それなのに、ここまでイメージを近づけてきたことを見て、まもなく70周年を迎えるクラウンの“ブランド”をここで継承しているのだと思った。
スポーツのキャラクターを考えるとこのインテリアはコンサバティブだと思う人もいそうだが、逆に言えば、これまでクラウンを愛用してきた人にも受け入れやすい造形である。
メカニズムでは、スポーツにPHEV、セダンにFCEV(燃料電池車)が、それぞれクラウンとして初めて登場した。前者はグローバル展開を考えれば必須であるし、後者はMIRAIとプラットフォームを共有しているので当然だったと思える。
ここまでの展開を見て感じるのは、新型クラウンはモダンなスタイリングや4つのボディバリエーションで「クラウンが変わった」ことを強く印象づけながら、セダンの設定やインテリアの仕立てで「クラウンは変わらない」こともアピールしていることだ。
とりわけセダンの存在は、これまでのクラウンとこれからのクラウンの橋渡しを務める存在であり、このボディがなければ新型クラウンにはネガティブな評価が増えていただろう。それを考えれば、「セダンも考えてみないか」と注文をつけた豊田氏の一言は、限りなく重いものだったと思うのである。
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