長崎「正覚寺下」行き路面電車、ブラジルを走る意外 64年間、市民と共に走った電車の「第二の人生」

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とはいえ、なぜ長崎から地球の反対側のブラジル・サントスへ? 実は、長崎とサントスはともに港湾都市であることから、1972年7月に姉妹都市を提携している。

両市のもう1つの共通点でもある路面電車の寄贈が、当時の長崎市長からサントス市長に約束されたのは、姉妹都市40周年を迎えた2012年。車両206号は3年後の2015年に博多を出港し、翌2016年1月にサントスに到着した。

その後、長崎電気軌道時代のオリジナルに忠実に塗装し直され、線路幅の異なるサントスで走るための改造が施された車両は、2019年にサントスで行われた「第1回移民フェスティバル」の目玉として、市民に披露されたのだった。

2019年サントスにて、ブラジル長崎県人会による「龍踊り」とともに列車を発表(写真:Raimundo Rosa)

ブラジルのエンジニアが寄せる気持ち

「日本の路面電車は、これまで寄贈されたなかで最高の車両です。経年劣化はありましたが、とてもよい状態で到着しました」と語るのは、サントス交通エンジニアリング社(以後、CETサントス)車両整備部長マルコス・ロジェリオ・ナシメント氏(55)。この会社は、路面電車の運行、管理を行うほか、サントス市内の交通取り締まりを担う第三セクターだ。

キャリア33年でトロリーバス、ディーゼルバスの整備を経て、観光路面電車の開通前年から「動く博物館」すべての車両の整備主任を務めてきた。

「電車好きならみんな友達!」と市電への思いを語るナシメント部長(写真:筆者撮影)
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