イタリア・トリノ市から2009年に寄贈された車両番号2840は、かつて観光用食堂車として運行していたもので、キッチンと客席に小型のテーブルを備えているのが特徴。現在は、老朽化のために倉庫で全面修繕中だ。
ポルトガル・ポルト市から寄贈された1920年代製の木製の車両は、2022年に他界したサッカーの王様ペレをオマージュする車両として改装され、2023年10月末に車両番号をペレの通算ゴール数1283に変えて、再出発したばかりだ。
当然ながらいずれの車両も年代物なので、修繕やメンテナンスは欠かせない。そんな老朽化の著しい車両が多いなか、最も新しく2019年に登場した期待の新人。それが車両番号206の長崎電気軌道の1台である。
路面電車の走る港町としての絆
日本車輌製造による202形206号は、1950年2月にデビューして以来、2014年8月の除籍まで長崎市民の足として長年活躍した車両の1つだった。長崎での稼働年数はなんと64年である。
長崎電気軌道は戦後、「長崎の復興は電車から」の標語とともに街の復旧作業に貢献。原爆が投下された日から5年弱で走り始めたこの206号もまた、復興へと街を導く役割を果たしたのだった。
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