映画公開「シルバニアファミリー」人気が続く背景 SNSでバズり、展示会やポップアップストアも

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そのようななかで、2017年から『シルバニアファミリー ミニストーリー』が製作された。この時からショコラウサギファミリーのフレアが主役になり、今まで名前がなかったファミリーと各キャラクターにも名前が付くようになる。

メインであるショコラウサギファミリーはチョコレート一家、くるみリスファミリーはウォールナット一家など、名前が付くことによって、各キャラクターに個性が出て、シルバニア村で起こる物語に深みが増すようになった。

もともとシルバニアファミリーの個々に名前が付けられていなかったのは、子どもたちに自由な発想で好きなように遊んでほしいというエポック社からの配慮だった。しかし、アニメーション製作において、各キャラクターに名前が付けられるようになったのは大成功といえるだろう。

22年にはフル3DCGのアニメが放送

その後もアニメ製作は順調な人気を得て、2022年にはフル3DCGで描かれた『シルバニアファミリー フレアのハッピーダイアリー』が放送され、今年は『シルバニアファミリー フレアのゴー・フォー・ドリーム!』が放送された。

細部まで丁寧に作り込まれたアニメーションで、改めてシルバニア村の世界に気がつくことが多いのも人気の理由のひとつだろう。お馴染みのショコラウサギファミリーのお家も、3DCGで描かれた映像で隅々までみると、家具の作りや壁紙、部屋の配置まで今まで気がつかなかった発見が非常に多い。

そして、今回の劇場版『フレアからのおくりもの』では、初の劇場版というだけではなく、3DCGで描かれた映像とともに、村方乃々佳が声優を務めるなど早くも話題となっている。四季折々の美しいシルバニア村を3DCGで体感できるのも本作の魅力だ。

シルバニアファミリー 映画
『劇場版 シルバニアファミリー フレアからのおくりもの』(画像:公式サイトより引用)

親子3世代の幼少期をともに過ごしたシルバニアファミリーは、令和でさらに世界が広がった。

シルバニアファミリーが今でも世代を超えて愛されているのは、家族を思う愛情や思いやり、シルバニア村の美しい自然や素朴な生活に尊さを感じるからだろう。それは、子供の頃に自らが描いたストーリーからだったり、アニメーションの物語からだったりもする。

ただ懐かしいといった感情だけではなく、心のなかにある大切なものをシルバニアファミリーは思い出させてくれるのだ。そして、この小さくて尊い人形たちは令和でも私たちの心を掴んで離さない。

Tajimax ライター・コレクター

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たじまっくす

東京都出身。2018年からSNSを中心に90年代〜00年代の平成ガールズカルチャーを紹介している。『オリコンニュース』『現代ビジネス』『ビジネスジャーナル』などで平成ガールズカルチャー関連のインタビュー取材ほか、「アーバンライフメトロ」などのウェブサイト、「クイック・ジャパン」に寄稿。90年代〜00年代の平成ガールズカルチャーのコレクターでもあり、古雑誌をメインに膨大なアイテムを所有している。

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