黄連解毒湯の効能は以下のようになっています。
お酒による熱を冷ます黄連解毒湯
漢方薬と聞くと、葛根湯(かっこんとう)のような体を温める働きの処方を連想する方が多いかもしれませんが、黄連解毒湯は熱を冷ます働きが強い処方です。
このような熱を冷ます働きを持つ処方を「清熱剤(せいねつざい)」といい、冷やすことで炎症や神経の興奮を鎮めます。上記の効能のようなさまざまな炎症症状(皮膚炎、口内炎、急性胃炎、充血、出血症状など)は、体にこもった熱が原因であると漢方では考えるのです。
二日酔いで考えてみると、黄連解毒湯は、お酒を飲んで赤くなる、体が熱くなるタイプの方、特に飲むとすぐ顔が赤くなってしまうアルコールに弱い人に向いています。
飲むと体が温かくなることからわかるように、ほとんどのアルコールは熱性の飲み物です。古来「酒は極寒の冬でも凍ることがない陽性の強いもの」とされ、その性質を活かして薬酒として使われてきました。
ただ、薬酒として飲む量はほんの少し(大さじ1程度)のことが多く、二日酔いするほどの量ではありません。酔っ払っている時点で、許容量をとっくに超えて肝臓に負担がかかっているということになります。
そこで、黄連解毒湯をあらかじめ飲んでおくことで、その熱を中和して肝臓を守り、二日酔いを予防するわけです。
清熱剤は苦いものが多いのですが、黄連解毒湯もとても苦い漢方薬です。
黄芩(おうごん)、黄連(おうれん)、黄柏(おうばく)、山梔子(さんしし)の4つの構成生薬すべてが苦味の強い生薬で構成されていて、どれも強い清熱作用があります。
なかでも、「黄連解毒湯」という名前からもわかるように、黄連のはたらきが主と考えることができるので、黄連の心(しん:主に心臓のこと)と中焦(ちゅうしょう:胃腸のこと)を冷やす作用が強い処方です。
黄連解毒湯は体を冷やすことが目的の処方なので、ほかの漢方薬のようにお湯に溶いて温かい状態で服用する必要はなく、常温の水か少し冷やした水で服用します。そのため、黄連解毒湯単独では冷えがある人には適しません。
また、副作用や注意点としては、山梔子が含まれている漢方薬は、数年以上続けて服用をすると「腸間膜静脈硬化症 ※1」のおそれがある、という報告があります。
※1大腸の壁が厚くなったり石灰化したりすることで、血流が滞る疾患
二日酔いで黄連解毒湯を服用する場合、そもそもあまり長期的に連用することはありませんが、ほかの理由で長めに服用するような場合は、定期的に経過を見ることが大事です。
ほかに、黄芩による「間質性肺炎※2 」の副作用にも注意が必要です。
※2肺にある間質という組織に炎症が起こる病気
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