今年の秋から冬にかけては寒暖差が大きく、お酒を飲んでいるわけではないのに先述の二日酔いのような症状に苦しむ患者さんも多くいらっしゃいました。水の偏在はお酒だけでなく、気圧や温度差によっても起こるからで、そのような方に五苓散を服用していただくことも多いのです。
五苓散は体質をあまり選ばず、子どもを含め、多くの方に飲んでいただける漢方薬です。
重症の二日酔いには半夏瀉心湯
最後は、半夏瀉心湯。みぞおちのつかえ、吐き気、お腹がゴロゴロ鳴って下痢がひどい、という重症の二日酔いにはおすすめしています。
お腹がこのような音を立てている状態を、漢方では「腹中雷鳴(ふくちゅうらいめい)」といって、水と熱が戦っている状態であると考えます。消化不良を起こしたときに起こりやすい症状ですので、半夏写真湯は二日酔いに食べすぎが加わったために起こる渋り腹や下痢にも有効です。
半夏瀉心湯は、黄連(おうれん)、黄芩(おうごん)、半夏(はんげ)、乾姜(かんきょう)、人参(にんじん)、甘草(かんぞう)、大棗(たいそう)の7つの生薬から成る漢方薬です。
先の黄連解毒湯にも入っていた黄連、黄芩には強い解毒作用があります。解毒のほかに、水をさばいて胃の働きをよくする半夏、体力を補う人参、甘草、大棗などが配合されています。
二日酔い以外では、逆流性食道炎や慢性的な吐き気、下痢などの症状で処方します。
飲みすぎ、食べすぎによって、食べたものが胃から食道に逆流して心窩部(しんかぶ:みぞおち)がつかえた感じがする、吐き気がするといったやや症状が重いときに効果的ですが、半夏瀉心湯が必要になるほどの飲みすぎや食べすぎは避けたいものです。
漢方でいう肝(主に肝臓)は、ストレスに弱く、怒りの感情は肝をさらに疲弊させます。感情以外にも、寒暖差や気圧の変動も体にとっては大きなストレスです。
肝が休まる時間帯は丑の刻(午前1~3時)ですから、この時間帯に熟睡するためには、遅くとも日付が変わる前には就寝していてほしいです。理想は午後10時台です。
寒暖差が大きかった今年はただでさえ体が疲れています から、心穏やかに予定を少なめにして穏やかに過ごしたいところです。
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