OpenAI騒動、結局マイクロソフトが一番得した訳 自社の開発者を迎え入れるより理想的な展開

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一方、マイクロソフトが、アルトマンを中心としたOpenAIの開発チームを自社に迎え入れていたらどうなっていただろうか。

もちろん、悪くない話だ。敵対的に買収してチームを入手するわけではなく、空中分解しているチームをその直前で救うのだから、チームそのものもマイクロソフトに信頼を寄せたに違いない。

しかし、実際に直接的な受け皿となった場合、そこには独占禁止法違反に問われるリスクが高まる可能性があった。すでにマイクロソフトとOpenAIの関係については、イギリスの競争・市場庁が調査を開始したとの報道があるほか、アメリカの連邦取引委員会も予備的な調査を始めているとされる。

マイクロソフト社長のブラッド・スミスは、「(お家騒動前との)唯一の変化はOpenAIの理事会に議決権を持たないオブザーバーとして参加するようになることだけで、グーグルが(AI企業の)ディープマインド・テクノロジーズを完全買収したこととは比較にすらならない」とコメントしている。もし(結果的にとはいえ)OpenAIのチームを引き抜く形になっていれば、マイクロソフトは別のピンチを切り抜ける必要があっただろう。

OpenAIとのつながりを持つことの利点

各国の規制当局における独禁法にまつわる事情を除いたとしても、今回の決着はマイクロソフトにとって「ほどよい」着地点となったのではないか。

OpenAIに対して10億ドルを出資した際、ナデラは「強い責任感のもとで最先端のAI研究を推進し、すべての人類が等しくAIを利用できる民主的な未来を目指す共通の野心の下、提携した」とコメントしていた。AIの公共性を強く意識した発言であり、その後のAI関連の発表でも同様の配慮を強く感じていたのは、筆者だけではないだろう。

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