OpenAI騒動、結局マイクロソフトが一番得した訳 自社の開発者を迎え入れるより理想的な展開

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OpenAIが内部規定では「理事会メンバーはほかの理事を選出・解任する独占権を有し、理事会の規模も決定できる」となっているが、オブザーバーについてその役割も何も規定していないため、現時点でマイクロソフトがどのような役割が果たせるかは未知数ではある。

だが、マイクロソフトがオブザーバーになることで、完全なる密室でその動きが見えない(騒動が落ち着いた現在でさえ、分裂や元鞘に収まった経緯に関する詳細は不明なままだ)OpenAI理事会の意思決定が可視化されるのは間違いない。

マイクロソフトは理事会での動きを察知するだけでなく、必要であれば意見を述べ、他のステークホルダーと情報を共有する機会も得られるかもしれない。

引き続き理事会がOpenAIにとって唯一絶対の最高機関であることに変わりはないが、内部規定では諮問委員会を設置し、理事会に勧告を発することを可能としている。最終的な決定権は持たないものの、不穏な、そして急峻な動きに対して干渉する役割は果たせるだろう。

OpenAIの「受け皿」になることのリスク

もう少しでOpenAIの精鋭たちを手に入れることができたマイクロソフトのさティア・ナデラCEOは、さぞ残念がっていると想像するかもしれないが、筆者はむしろマイクロソフトにとって「理想的な結末」だったと考える。

それはマイクロソフトがOpenAIの直接的な受け皿になることに、潜在的なリスクがあるためだ。

今回の騒動で最も名を上げたのはサティアであることは間違いない。巨額を投じたOpenAIのお家騒動にあからさまな不快感を示すことなく、冷静に対応した上で、優秀なチームに手を差し伸べて将来を約束し、さらには元鞘に戻ることになっても、けっして責めることなく引き続きの支援を表明している。

アルトマンだけではなく、OpenAIの多くの幹部、いやAGI(汎用人工知能)の開発を目指す多くの研究者、開発者たちは一様にサティア氏への信頼の念を抱いたに違いない。マイクロソフトにとっては、「ほぼOpenAI」を手にするよりも、OpenAI、及びその周辺の開発コミュニティから、大きな信頼を得られたことのほうが大きな意味を持つ。

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