OpenAI騒動、結局マイクロソフトが一番得した訳 自社の開発者を迎え入れるより理想的な展開

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構造の頂点にあるのは、非営利の研究開発組織OpenAIで、そのすべての判断は理事会に委ねられている。他の非営利、あるいは、学校法人などでも見られることだが、株主からの圧力を受けないことが利点だ。

一方で団体・組織の利害にかかわらず、その運営理念、目的などで意見が分かれた際には、突然のクーデターも起こりうる。まさにアルトマン解任騒動がそれだ。

理事会が強い権限を持っている構造

OpenAIは、完全子会社のOpenAI GP LLC傘下に営利企業であるOpenAI Global LLC(利益上限付企業)を擁している。一部の投資家や企業、従業員なども少数のGlobal LLC株式を保有しているが、大多数はOpenAI GP傘下の純粋持ち株会社が保有しており、実質的にはOpenAIの完全支配下である。

そして、マイクロソフトやベンチャーキャピタルなどが出資しているのは、営利企業であるOpenAI Globalに対してだ。

「OpenAIの株主たち」が今回の事態を事前に察知できず、意見する手段さえ持たなかったのは、OpenAIの意思決定、統治に関与できる者が、この特殊構造のために(当時6人の)理事以外にいなかったからに他ならない。

今回、元の鞘に収まったと言われるのは、この構造に変化がないためだが、変化した部分もある。

今回の件を受けて、OpenAIは理事会のメンバーを入れ替え、経営陣は理事会から抜けた。もはやアルトマン、そして、OpenAIのチーフ・サイエンティストで、今回のアルトマン更迭に同意していたイリア・サツキバーなど共同創業者たちは理事会に残っていない。

(出所:OpenAIや報道などを基に東洋経済オンライン編集部作成)

同時に誰からも監視されてこなかった理事会に、最大の支援者であるマイクロソフトをオブザーバーとして迎え入れる。議決権はないが、オブザーバーとはいえ、完全なる密室で行われてきたOpenAIの理事会に監視の眼が光ることになる。この違いは、小さいものではない。

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