「ガレリアス・ロマーナス(Galerias Romanas)」と呼ばれるリスボンの地下回廊遺跡への扉が開かれるのは、毎年春の「国際記念物・遺跡の日」と、秋の「ヨーロッパ文化遺産の日」前後の3日間。2023年秋、筆者は一般公開に先駆けて内部を案内してくれるというリスボン美術館のディレクター、 ジョアナ・サウザ・モンテイロさん(52)と待ち合わせた。
入り口は車の走る通りにある「穴」
指定された待ち合わせ場所は、テージョ川に向かって開かれているリスボンきっての観光地、コメルシオ広場から歩いてすぐの交差点。歩行者はもちろん、車、トゥクトゥク(3輪タクシー)、さらにはリスボン名物の黄色い路面電車が、絶え間なく行き交っている。
とはいえ、そこには「地下への入り口」らしきものが見当たらない。「本当にここでいいのかな?」と不安になり始めたところ、道の真ん中に置かれたオレンジ色のカラーコーンが目に入った。道路工事現場などで「立ち入り禁止」を示すあれだ。
カラーコーン付近でマンホールのような「フタ」を2人の男性が動かしている。どうやらそこが古代ローマ遺跡への入り口らしい。覗き込むと、地下へと階段が続いている。
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