地上には巨大な施設が建築されたはずだが、すでにその名残はない。歴史家たちは、港町オリシポの交易をサポートする複数の公共施設があったと推測している。商人たちの集会場(フォーラム)や市場、また公共浴場もあったかもしれない。
そうだとしたら、地下回廊自体は特産品の陶器に入った穀物、オリーブオイル、ガルム(帝国エリート層に珍重された魚醤の一種)などの保管庫としても利用されていたはずだ。
「何がすごいって、この2000年以上前に作られた基盤が、今もリスボンの下町の通りを支えているってことよ!」とジョアナさん。古代ローマ人もまさか何世紀もあとに、この建築物が路面電車や車、また世界中の観光客を支える足場になるとは想像もしなかっただろう。
現存する遺跡の3分の1程度
ジョアナさんは「何層にも重なるリスボンの歴史に魅了される」というが、言葉通り、重なり合う21世紀と1世紀の建築物を階段で行き来できるところも面白い。ちなみに見学可能な部分は、現存する遺跡の3分の1程度と考えられており、現在も発掘は続いている。
一般公開は80年代から始まっているが、人気は高く、販売開始後すぐに完売してしまう。年に2回にとどめているのは、何百年も水に浸っていたローマンコンクリートが湿度の変化にどう反応するか予測不能なため、長期間一般公開するのは難しいからだそうだ。
チケットはリスボン美術館のサイトから購入可能。価格は1人3ユーロ。学生グループは無料だ。競争率は高いが、興味のある人はトライしてみてはどうだろうか。
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