聖坂の先に突如現れるフシギな家
東京・港区三田。三田駅を降りて慶応義塾大学三田キャンパス方面へと歩く。三田3丁目の信号を渡った先の聖坂をのぼっていく。
さすが東京のど真ん中、瀟洒(しょうしゃ)な高層ビルがそびえ立つ。しかしビルの周辺は更地となり、殺風景だ。
そんな何もない場所に、工事用のパネルがずらっと並んでいた。そのパネルの向こう側には、ポツンと1軒、フシギな建物が立っていた。
地面からコンクリートがむくむくと湧き上がっているようなエネルギッシュな外観。コンクリートの鋭い塊が突き出ていたり、建物に亀裂が入ったかのように見える窓があったり、はてしなくフシギな雰囲気が漂う。背後にある200mを超える高層ビルと比べると、アンバランスな存在感だ。
この建物の名は「蟻鱒鳶ル(ありますとんびる)」という。
着工から約20年の時を経て、2024年秋、シートや足場が外されその姿が現れた。「ついに完成?」と話題を呼び、観光スポットのように人が集う。
蟻鱒鳶ルとはどんな建物なのか。内部はどのようになっているのか。この建物を手がけた建築家の岡啓輔さんを訪ね、扉の向こう側へと足を踏み入れた。
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