建築に20年!「三田のサグラダファミリア」の圧巻 地下室や屋上など、内部も不思議な空間広がる

✎ 1〜 ✎ 9 ✎ 10 ✎ 11 ✎ 12
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

蟻鱒鳶ルは、40平米ほどの土地に立つ、地下1階地上4階の鉄筋コンクリート造のビルである。建築面積は25平米弱で、延べ床面積は100平米ほど。両隣にマンションが立つ狭小地に、2005年に着工した。現在は周辺一帯で市街地再開発事業が進められている。

重厚なコンクリートの世界

まずは階段を下りて地下へ。そこはコンクリートに包まれた静謐な空間だ。壁に触わるとひんやり冷たく、気持ちいい。中にしっかり詰まっているような重厚さを感じる。

三田 ガウディ サクラダファミリア 岡啓輔
蟻鱒鳶ルの地下の光景(撮影:今井康一)

蟻鱒鳶ルを手がけた一級建築士の岡啓輔さんは、住宅メーカーでの勤務や、鳶職、鉄筋屋、型枠大工など、現場での経験を積んできた。

岡さんは2000年に自らの住居として、ここ港区三田の土地を購入する。2003年には「蟻鱒鳶ル」案が、『SDレビュー』(建築・環境・インテリアのドローイングと模型の入選展)に入選。

2005年に着工し、岡さん自ら設計をして、施工もする「セルフビルド」の鉄筋コンクリート建築に挑んだ。

三田 ガウディ サクラダファミリア 岡啓輔
見上げるとフシギな紋様が目に飛び込んできた(撮影:今井康一)

まずツルハシとスコップを使って土を掘り、地下を作るところから作業は始まった。土を掘り土嚢(どのう)に詰めて運び出すという重労働だが「楽しかったですよ」と岡さんは振り返る。

「掘り始めて70cmぐらいまでは、江戸時代からずっと人が住んでいる土地なので、茶碗や瓦の欠片とか生活の痕跡がいろいろ出てきました。でもそこから下は、生物も物も何もないんですよ。誰も触れていない混じりっけのない土をサクサク掘るのは気持ちよかったです」

次ページフシギな装飾をたくさん発見
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事