地下から順にコンクリートで作られた蟻鱒鳶ル。特徴はコンクリートの「質のよさ」にある。
コンクリートは、セメントと砂と砂利、水を混ぜて作る。コンクリートの強度は水とセメントの割合で決まり、水が少なくセメントが多いほど強度と耐久性が高まる。
岡さんは「日本の鉄筋コンクリートの建築の平均寿命は短い」と語る。強度と耐久性のある質のよいコンクリートを目指し、建築学会や土木学会が公表するセメントに対する水の質量の比率(水セメント比)の最高値にあわせて作ることにした。
一般的な建物の場合、セメントに対する水の質量の比率は60%前後が主流だが、岡さんは37%程度に抑えたのだ。
「200年、300年持つ」と太鼓判も
蟻鱒鳶ルを訪れた大学教授やコンクリートの専門家らは驚き、「これなら200年、300年持つ」と太鼓判を押したという。
さらには、こんなこともあった。
「あるとき、おじいさんが壁に手を当て優しく触っていたんです。話しかけたところ、元土木技術者をされていた方でした。橋を作る仕事で良質なコンクリートを使っていたそうで、『とてもじゃないけどこのレベルには到達できなかった』と言ってくださいました」
各階のコンクリートの壁や天井を見ると、フシギな装飾があることに気づく。ぐるぐるの紋様や大きな穴、丸や四角のポコポコとした膨らみ、波形をしたパーツなど、見ているだけワクワクする。
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