「地震で壊れにくい住宅」を妄信してはいけない訳 地震で「壊れる」と「倒れる」はイコールではない

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教養としての建築
壊れやすいけれど倒れにくいマンションと、壊れにくいけれど倒れやすいマンションがあったとしたら、どちらを選ぶでしょうか(写真:ふじよ/PIXTA)
マイホームを購入するとき、耐震性に注目する人も多いことでしょう。しかし「壊れにくいマンションは倒れやすいかもしれない」ということをご存じでしょうか。建物の構造から見る耐震性について、『教養としての建築』から一部抜粋・再構成のうえ解説します。

1階と2階の強さのアンバランス

「強さ」や「強度」とは、ある物体が壊れるまでに耐えられる力の最大値を表す言葉です。建物に対しても、地震に強くするだとか、耐震補強するというように、「強」という言葉を使います。

強いということは絶対的にいいことのように思えます。弱いよりは強いほうがいいと思うのは自然なことでしょう。

しかし、実際には強いことでほかの部分を壊れやすくしてしまうこともあります。

1階と2階の強さのアンバランスがそれです。2階が強すぎることで1階が壊れてしまうのですが、戸建て住宅でよく見られます。

戸建て住宅では、1階に窓の多い開放的なリビングを設置することが多いですが、それにより1階の強度が不足しがちになり、2階に比べて1階が弱くなることがあります。2016年の熊本地震でも、多くの倒壊事例が見られました。

2階の強さがなぜ1階に影響してしまうのでしょうか。別に2階の強さにかかわらず、1階が地震の力に耐えられさえすれば問題ないように思えます。1階部分が壊れて建物が倒れてしまったのは、2階が強すぎたせいではなく、1階の強さが十分ではなかったせいだと考えた方が直感に合うかもしれません。

しかし、やはり2階が悪影響をおよぼしているのです。

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