神秘!公開は年2回のみ「古代ローマの地下回廊」 それはポルトガル・リスボンの旧市街の足元に

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そのうちにジョアナさんが登場。笑顔のすてきな女性だ。テキパキと地下へと先導してくれるのだが、階段を降り始めると頭のすぐわきを車が走り抜ける。目を丸くする筆者に「一般公開前には、車の通行を禁止するわ」と苦笑い。

それにしても、こんなにぎやかな通りの地下にリスボンで最も古い遺跡の1つが残っているなんて、誰が想像するだろうか。

地下へと案内してくれるリスボン美術館のジョアナさん(写真:筆者撮影)

いよいよ2000年前の回廊へ

急な階段を降りると、ライトで照らされた薄暗いトンネルのような通路に出た。これが2000年前に作られた回廊だという。地上から4.5メートルほど潜ったらしい。アーチ型の天井の回廊の高さは一部を除いて3.5メートル程度。幅は約2.3メートルで、大人2人が横並びで歩くには十分な広さで、圧迫感はない。

回廊の全長は約18メートル。並行に通る3本の回廊と、それらと交差する2本の回廊で構成されている。一般公開時には同時に75人ぐらいが3グループに分かれて見学するそうだ。1日に合計約850人がこの場所を訪れる。

薄暗い地下はひんやりしているのかと思いきや、肌寒かった外に比べてかなり蒸し暑い。ジョアンさんは「湿度が高いのは、いつもはこのあたりまで水があるからよ」と地面から1メートルほどを示した。一般公開日の前にだけ、1週間かけて排水するそうだ。

確かに床は濡れていて、あちこちに排水用のゴムホースが這っている。回廊の奥にはかなりの水が溜まっている。雨が入ってくるのかと尋ねると、「壁面の亀裂から常に地下水が流れ込んできているの」と言う。

天井に走る亀裂。亀裂の状態や入り込む水量に変化がないかは美術館の管理のもと精密にモニタリングされている(写真:筆者撮影)

この亀裂がいつ、どうして入ったのかは不明だが、遺跡として回廊が発見されたときには、すでに浸水していたそうだ。

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