郵便番号はあるのに実体がない「幻の地名」の正体 廃れて消えた町もかつて誰かの故郷だった

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なぜこんなことになったかといえば、旧大蟷螂町のうち人が住むエリアだけ昭和57年(1982)に字の異なる「大当郎」その他に変更されたためだ。

蟷螂の字を他人に説明するのに骨が折れるという意見に従ったとも想像できるが、そちらの郵便番号は1番違いの454-0943となる。このように河川敷だけに残っている幻の地名は全国を見渡せば意外にある。

夕張炭鉱の終わりとともに消えた町

かつて炭鉱の町として栄えた北海道夕張市は昭和35年(1960)に最大人口の11.7万人を記録したが、令和5年(2023)7月末日現在は6593人と約18分の1に激減した。もちろん戦後の「エネルギー革命」で石炭需要が大きく落ち込んだためであるが、特に山深い地域では閉山がそのまま町の終わりに直結する。

夕張市でも人口はまんべんなく減ったわけではなく、大夕張炭鉱のあった夕張川沿いの鹿島地区は特に著しい。

大夕張炭鉱が現役で周囲が市街地として賑わっていた頃の夕張市鹿島地区。長屋らしき形状の炭鉱住宅がびっしり並んでいる。1:50,000「石狩鹿島」昭和43年資料修正
次ページかつて栄えた炭鉱町の現在の姿
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