カリスマ校長が教える「自律できる子」育てる言葉 工藤勇一×西岡壱誠「教育の役割」対談【後編】

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工藤:子育ては実験的に試行錯誤することが大切です。夫婦で「この声かけはダメだったね」「これは良かったね」と話し合うとよいでしょう。

工藤氏
工藤 勇一(くどう ゆういち)/横浜創英中学・高等学校校長。1960年山形県鶴岡市生まれ。東京理科大学理学部応用数学科卒。山形県公立中学校教員、東京都公立中学校教員、新宿区教育委員会教育指導課長などを経て、千代田区立麹町中学校長に就任。2020年3月まで校長を務める。宿題廃止・定期テスト廃止・固定担任制廃止などの教育改革がメディアなどで話題となった(撮影:今井康一)

大事なことは1つひとつに本気になりすぎて、うまくいかなかったことを互いに責め合ったりしないことです。

両親の責め合いは、必ず子どもに伝わります。ただでさえ落ち込んでいる子どもが、自分のことが原因で両親の関係もおかしくなったと感じて、さらに落ち込み、当事者性を失わせます。

ですから、最初に、夫婦で「自分たちの教育なんて大したものじゃない。うまくいくわけがないよ」という意識を共有するとよいでしょう。

自分のおかげで子どもが育つなんて思いすぎちゃいけないんです。そこを理解して、実験のように何度もやってみる。

大事なことは、何が正しいかではなく、子どもが自己決定できるようにすることなのですから。

子どもに心理的安全性を与える言葉

西岡:思春期の難しい年齢の子どもにはどう接すればよいでしょう。

工藤:思春期になると、子どもの自己肯定感がとても低くなる可能性がありますね。いつも劣等感に苛まれていると、「自分はダメだ」と思ってしまうからです。それを簡単に改善する方法があります。

子どもが大きくなると、大抵、褒めることがなくなってくるんです。褒めようとしても、腫れ物にさわるような声のかけ方をするから、子どもに見透かされてうまくいかない。

そんな時は、自分が褒めたいと思っていることを、人の言葉で伝えればいいんです。

例えば、「昨日、お父さんがあなたのこと褒めてたよ」。子どもは気になりますから「えっ、なんて?」と聞きますよね。そうしたら「忘れちゃった」と言えばいい(笑)。

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