カリスマ校長が教える「自律できる子」育てる言葉 工藤勇一×西岡壱誠「教育の役割」対談【後編】
工藤:子育ては実験的に試行錯誤することが大切です。夫婦で「この声かけはダメだったね」「これは良かったね」と話し合うとよいでしょう。
大事なことは1つひとつに本気になりすぎて、うまくいかなかったことを互いに責め合ったりしないことです。
両親の責め合いは、必ず子どもに伝わります。ただでさえ落ち込んでいる子どもが、自分のことが原因で両親の関係もおかしくなったと感じて、さらに落ち込み、当事者性を失わせます。
ですから、最初に、夫婦で「自分たちの教育なんて大したものじゃない。うまくいくわけがないよ」という意識を共有するとよいでしょう。
自分のおかげで子どもが育つなんて思いすぎちゃいけないんです。そこを理解して、実験のように何度もやってみる。
大事なことは、何が正しいかではなく、子どもが自己決定できるようにすることなのですから。
子どもに心理的安全性を与える言葉
西岡:思春期の難しい年齢の子どもにはどう接すればよいでしょう。
工藤:思春期になると、子どもの自己肯定感がとても低くなる可能性がありますね。いつも劣等感に苛まれていると、「自分はダメだ」と思ってしまうからです。それを簡単に改善する方法があります。
子どもが大きくなると、大抵、褒めることがなくなってくるんです。褒めようとしても、腫れ物にさわるような声のかけ方をするから、子どもに見透かされてうまくいかない。
そんな時は、自分が褒めたいと思っていることを、人の言葉で伝えればいいんです。
例えば、「昨日、お父さんがあなたのこと褒めてたよ」。子どもは気になりますから「えっ、なんて?」と聞きますよね。そうしたら「忘れちゃった」と言えばいい(笑)。