カリスマ校長が教える「自律できる子」育てる言葉 工藤勇一×西岡壱誠「教育の役割」対談【後編】
工藤:ところが、今度は人口が極端に減少して、消費する人間がいなくなった。淘汰される企業も出てきます。大人が子どもたちに助言できない時代になったわけです。
西岡:これからの世界がどうなるかわからない。大人の言う「正解」が、子どもにとって正解かどうかわからないということですね。
受験して、いい大学に進学するのが正義だよと言っていればよかった時代は崩れてしまいましたね。
子どもに自己決定させる質問
工藤:日本には、従来の教育を受けたせいで主体性を失ってしまった子どもが大勢います。こうした子どもたちには、もともと備わっていた主体性を復活させてあげるリハビリが必要です。
西岡:どんなことをすればよいのでしょう。
工藤:基本的には、「君はどうしたいの? 何か手伝うことがあれば言ってよ」。この繰り返しです。これを言い続けると、子どもは自分で決定せざるを得ないので、自己決定するようになります。
例えば、不登校で昼夜逆転した子どもに悩む方には、まずいちばん上位の目標をちゃんと意識するようにアドバイスします。
昼夜逆転を元に戻すことが目的になってしまうと、毎朝子どもといざこざが起きますよね。子どもの身になれば、起きられないことに罪悪感を抱えているのに、追い打ちをかけられるわけですから、ますます頭に来る。
子どもはうまくいっていないことについて、自分を責めているので、親を責めないとやっていけないんです。親も同じで、自分を責める分だけパートナーを責めたり、子どもを恨んだりしてしまいます。家族にとって最悪の不幸ですよね。
でも、こうした状況を変える方法はある意味すごく単純です。子どもに自己決定させるだけです。
前日に「明日は起きたい?」「何時に起きたい?」と聞くのです。子どもが起こしてほしいと自己決定したら、起こします。
朝の出勤時間が迫るなら、「お父さんとお母さんは〇時までに働きにいかなければいけないけど、その時、まだ寝ていたらどうしたらいい?」「泣いても無理やり起こしていい?」とすべて聞く。これをくり返すのです。そして、子どもが望んだ時だけ、やってあげればいいのです。
西岡:なるほど。自己決定させるための質問ですね。