このケースは自分で対応せず、人事部の担当者から本人に話してもらうとよいだろう。
これは難題から逃げているのではない。あなたが対応した場合、部下はあなたに会うたび恥ずかしく、気づまりな話し合いを思い出して惨めな気分になるだろうから、それを避けるためだ。
人事担当者に、業務の現場と離れたところで本人と話して解決してもらえば、他に問題のない人材を失わずに済む。こうしたデリケートな問題で対応を誤って部下に恥をかかせると、離職のリスクすらあるのだ。
白紙1枚、シンプルな業務改善ツール
業績に課題のある部下に対しては、簡単なツールを使って、改善のためにやるべきことを理解させよう。
物事がうまくいかないときには、問題を明確化することが何より重要である。効果を最大限に発揮できるよう、1対1の面談の中でこのツールを作成するとよい。
用意するのは白紙1枚、普通のコピー用紙で十分だ。封筒に入れるときのように用紙を三つ折りにして、開いておく。折り目に沿って水平に線を引けば、空欄が3等分されたシートの出来上がりだ。
「これからあなたの業務改善計画を作ります」と部下に伝えよう。上の欄には「強み」と書く。真ん中の欄は「改善すべき点」であり、下の欄には「目標」と書いて、これを部下と一緒に埋めていけばいい。
あなたの頭の中には各欄に欲しい答えが思い浮かんでいるだろうが、部下に発言させることが重要だ。よいアイデアも出てくるかもしれない。
部下の意見を聞きながら計画を作成していく。その意見が適切かを判断するのはマネジャーの仕事だ。発言に納得できない場合は、そこから議論を進めていこう。
たとえば、「自分の強みはチームワークがうまくできること」と部下は言うものの、実情に反すると思った場合には、「どうしてそう言ったのか教えて」と伝えて会話を進めよう。
相手の発言でこちらの見方が変わるかもしれないし、変わらないかもしれない。変わらない場合にはその旨を、あなたの視点や同僚からの意見をもとに伝えよう。「改善すべき点」の欄に「効果的なチームワーク」と書き加えるのもよいだろう。
あくまでも建設的なトーンで話し、部下が仕事をうまくできるようになることが、このワークの目的だと強調しておこう。仕事をうまくやるためには、自分が何に取り組むべきか、正しく理解する必要があるのだ。