教授になれば「こっちのもの?」大学教授のリアル コピペされた論文を見破るのも重要な仕事!?

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私が出した10冊の書籍の収支決算をすれば、学術書を出す際に自腹を切った費用にくわえ必要な書籍・資料・データ収集の代金と、一般書の印税が相殺されてプラスマイナスゼロというのが実際のところだ。マイナスにならないだけ恵まれているともいえ、とてもじゃないが「印税生活」など夢のまた夢なのだ。(32ページより)

コピペ論文を見破れ!

現在の学生には、われわれ世代の常識が通用しないことがあると著者は指摘している。それはまあ当然だろうとも思えるが、現実はこちらの推測以上にすごいことになっているようである。

たとえば「授業でレポート、ゼミ論文や卒業論文を書くんだよ」と伝えると、「授業時間内に執筆するのですか?」と真剣に聞き返してくるゼミ生もいるというのだ。当然のことながら、わずか100分で論文など書けるはずがない。そこで、「リサーチも含めれば何時間も要することになる」という当たり前のことから説明しなければならないわけだ。手取り足取り、である。

こんな調子だから、レポートや論文は提出時に仕上がっているわけもない。「て・に・を・は」の使い方もおかしく、前後の関係や文章としての脈絡も欠如していて、読んでいるうちに胃がムカムカしてくるものも多い。これに懲りて、私の場合、必ず最低一度はレポートや論文に赤字を入れて、書き直してもらうことにしている。(38ページより)

また、おおかたの想像がつくとおり、学生の論文やレポートを評価するにあたっては「コピペ(コピー&ペースト)」の問題も避けられないという。いまやコピペを見破るのも、大学教員の重要な仕事となっているのである。

少し前、「ChatGPTを使ったと思われる学生の論文について、教授が『これはChatGPTによる文章か?』ということをChatGPTで確認した」という冗談のような記事をどこかで読んだことがあるが、著者も似たような経験をしたようだ。

もともと授業にも出ず、熱心な受講生でもなく、自身の卒論について質問をしてもまともな答えを返せなかった学生が、いきなり完成度の高い卒論を提出してきたというのだ。

これ、どこかからパクってきてないか?
さっそく宮内君のワード文書から1ページ分を抜き出して、グーグルの検索窓に貼り付ける。なぜか胸がドキドキする。(中略)
「実行」キーを押す。グーグルの検索一覧に論文を販売していると思われるサイトが列挙される。
やっぱりあった! 自分の予想が的中した快感と、宮内君に裏切られた失望感が、ない交ぜの不可思議な気持ちだった。(41ページより)

そうして卒論の書き直しを命じた結果、あらためて提出された論文の出来の悪さは、明らかに自分のことばで書いたことを表していたらしい。なかなか味わい深い話だが、ともあれコピペではないことは明らかだったので、努力賞にあたる単位を授与したそうだ。

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