こうした“思考の期間”を終え、10浪に突入した彼は「十分な社会的素養とお金を稼いだ」こともあり、平日1日3時間、休日は1日5~6時間の勉強を重ねます。
「センター試験で毎回150点落としていた国語・地理の失点を70~80点くらいにするため、暗記に重点を置いて頑張りました。理数科目も苦手な分野があったので、間違えた問題を書き綴ったノートを作り、大量失点につながるポイントを書いて徹底的に不安要素を潰しました。受験勉強ががっつりできないので、とにかく効率よく点数を確保しにいくことにこだわって戦略を立てました」
その姿勢が奏功し、彼は10浪の夏にはじめて駿台全国模試で理IのA判定を取ります。それから波に乗った彼は、その後受けた6回の東大の冠模試もすべてA判定を取り、センター試験でも87%と受験生の中でも平均程度の点数を確保することに成功。2次試験も力を出し切り、最低合格点からプラス25点で東京大学理科I類に合格しました。
劣等生だった彼はついに、長い戦いを経て、東京大学に合格したのです。
10浪で東大合格も入学辞退
夢にまで見た東京大学理科I類に合格した彼に、浪人してよかったことを聞くと「成功体験が自信になった」、頑張れた理由については、「20代・30代になると増える、夢を諦める社会人の風潮に流されず、変わった成功体験で一旗揚げたかった」と答えてくださいました。
「合格して嬉しいと感じるよりは、将来に希望が見えました。『やればできるんだな』と思えるようになり、自分の意思で、自分の信念に基づいて行動できるようになりましたね。これも、普通に突き進んでいたら無理だったけれども、人と違うイレギュラーな選択をしたことで最終的に目標に辿り着けたと思っています」
こう語った彼でしたが「入ることのメリットを感じなかった」ために10年かけて合格した東京大学の入学を辞退します。
「大学に進学したらお金がかかるし、いま働いて得ている給料が入らなくなります。入っても、それを生かしてビジネスができる世界線を想像できなかったんですね。『自分への挑戦』が受験の目的だったから、それが達成できた時点で、安定収入がある現在の状態をキープしながら、また新しく挑戦したいことができたときに、それをできるようにしておいたほうがいいなと思いました」
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